ID番号 | : | 06242 |
事件名 | : | 労災保険給付不支給処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 佐賀労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 境界域高血圧症状の基礎疾病を有しているタクシー運転手の高血圧性脳内出血につき、過重な労務があったとして業務起因性が認められた事例。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法7条1項1号 労働者災害補償保険法12条の8第1項 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1994年2月18日 |
裁判所名 | : | 佐賀地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成1年 (行ウ) 6 |
裁判結果 | : | 取消(控訴) |
出典 | : | 労働民例集45巻1・2合併号50頁/タイムズ868号181頁/訟務月報41巻4号693頁 |
審級関係 | : | 控訴審/06436/福岡高/平 7. 1.26/平成6年(行コ)3号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 業務と当該疾病との間に相当因果関係があることが必要である。そして、労働者に、当該疾病を発症させる基礎疾病がある場合には、当該業務の遂行による過重な負荷(以下「業務の過重性」という。)を受けてその基礎疾病がその自然的経過を超えて著しく増悪したことが認められなければ、相当因果関係があるということができない。そして、基礎疾病を有する者については、この業務の過重性は、基礎疾病を有しない健常人を基準に判断すれば足りるものというべきではなく、当該業務における通常の勤務に耐えられない健康状態にあるような者は格別、当該業務における通常の勤務には耐えられる程度の基礎疾病を有する者を基準として判断すべきである。なぜなら、労働が現代人の主たる生活手段であり、健常な者のみが労働に従事しているのではなく、基礎疾病その他の身体的負因を抱えながら労働に従事する者も多いのであるから、このような者を無視して労働者の保護を全うすることはできないからである。〔中略〕 以上のとおり、本件疾病は、境界域高血圧症状という基礎疾病が、過重な業務によって自然的経過を超えて著しく増悪した結果であるということができるから、業務と本件疾病との間の相当因果関係を肯定することができるというべきである。 |