ID番号 | : | 06254 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本写真新聞社事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 杜撰極まりない経理作業を理由とする懲戒解雇が無効であるとされた事例。 雇用を継続しながら退職金を分割支給する旨の合意が有効として、退職金の一部支払請求が認容された事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3の2号 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務能力 |
裁判年月日 | : | 1994年3月15日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成3年 (ワ) 4543 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労経速報1538号8頁/労働判例656号68頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕 二 争点二(退職金分割払いの合意の効力)について 原告は、退職金分割払いの合意は無効であると主張するが、被告会社の給与規定には、退職金の支給時期については特に定めがなく、従前は退職者と被告会社との間で合意に基づく適宜の時期に支給されてきたことが認められ(〈証拠略〉)、前記一の認定事実によれば、原告を含む残留社員全員が退職金を分割払いとすることに同意したのは、退職金債権そのものを確保するために必要な措置であり、雇用の継続を実現しながら退職金の受領を可能にするという退職者の利益に沿ったものということができるから、このような事情のもとにおいては右の合意は有効なものというべきである。 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務能力〕 三 争点三(懲戒解雇)について 1 前記一、二の事実によれば、被告会社が原告を平成三年三月一九日に懲戒解雇したからといって、その効力を判断するまでもなく、これが既に退職金債権として発生しかつその分割支払義務を履行すべき状況にある権利を遡って消滅させる理由となりえないことは、明らかである。 2 のみならず、被告会社が平成三年三月一九日付でした取締役会名義の通知書には、原告に対する懲戒解雇の理由として、【1】総務部長として経理実務の最高責任者の立場にありながら、杜撰極まりない経理作業を続けている、【2】総務部長でありながら、ビジネス社会の初歩的なエチケットさえも全くわきまえていない、という点が主たるものであると告知したにすぎず、本件訴訟に至ってから懲戒解雇事由を前記主張にかかる解雇事由に差し替えたものであるところ、本件全証拠によっても、原告に被告主張にかかる解雇事由があることを認めることはできない。 |