ID番号 | : | 06282 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | カーマン事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | ミーティングにおいて、新たに飛び込みセールスを行う旨の説明の途中に退席したことが職場放棄に当たるとしてなされた解雇につき、解雇権の濫用に当たり無効とされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1994年5月30日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成6年 (ヨ) 402 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例652号30頁/労経速報1537号17頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 (三) 本件は前記認定のとおり、債務者の新規顧客の獲得のためにいわゆる飛び込みセールスをするというのは、採用時の前提と異なっており、又営業部員の減員により労働過重がさらに増加すると考えた債権者らの反対も理由のないことではないから、債務者は相当の手続きで債権者らの同意を得るべく努力すべきであるのに、債権者らの主張を聞かず、強圧的な応対に終始していたものであり、又日頃から会社方針に従わないものには解雇を示唆していたこともあり、本件の場合も同様に債権者Aに解雇を示唆するなどしていたもので、その説得の方法は相当でなく、これに抵抗する債権者らが会社を退去するという方法によったのも、相当ではないが、債権者Aの解雇を感じ、社長の態度等から個別に説得されるのと思い、これを回避するために咄嗟に採ったものであり、止むを得ない側面もあると考える。 しかも債権者らの措置は自己の利益擁護のためになされたものであるが、債務者の業務を故意に阻害する目的にでたものでなく、又債権者らが会社に損害を与えるために故意に、あるいは組織的計画的に行ったものでなく、社長の強圧的態度と言動に触発され、いわば突発的に行動したものと認められるものであり、その責任を債権者らのみに帰すべきものでなく、債務者にも相当の責任があるものと言うべきものである。 〔解雇-解雇権の濫用〕 (四) 前記のとおり、本件職場放棄の経緯や動機、その態様、期間、債務者の対応、職場放棄の債務者や取引先に与えた影響、解雇処分の真の理由等本件職場放棄の全容を総合するとこれを理由とする本件解雇は、営業部員全員による職場放棄であること等の点を考慮したとしても、債務者の就業規則により無断欠勤が二日以上の場合や通常の職場放棄が減給、出勤停止とされ、無断欠勤五日以上が解雇とされていること等他の処分の場合と対比すると、著しく均衡を欠いたものであり、正当とはいえず解雇権を濫用するものであると言えるものである。 |