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ID番号 06283
事件名 割増賃金等請求事件
いわゆる事件名 高知県観光事件
争点
事案概要  歩合給で雇用されているタクシー運転手に対する時間外および深夜労働の割増賃金につき、歩合給にくみ込んで支払っているという会社側の主張に対し、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外および深夜の割増賃金に当たる部分とを判別できないとして、右割増賃金の支払いが命ぜられた事例。
 割増賃金不払いに対する附加金の請求につき、二年を経過したものを除き認容された事例。
参照法条 労働基準法37条
労働基準法114条
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定方法
雑則(民事) / 附加金
裁判年月日 1994年6月13日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (オ) 63 
裁判結果 破棄自判
出典 時報1502号149頁/タイムズ856号191頁/労働判例653号12頁/労経速報1543号14頁
審級関係 控訴審/05491/高松高/平 2.10.30/平成1年(ネ)266号
評釈論文 香川孝三・民商法雑誌114巻2号130~133頁1996年5月/新谷眞人・季刊労働法173号166~168頁1995年3月15日/土田道夫・労働判例百選<第6版>〔別冊ジュリスト134〕100~101頁1995年5月/浜村彰・平成6年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1068〕197~199頁1995年6月/野間賢・労働判例百選<第7版>〔別冊ジュリスト165〕116~117頁/林豊・平成6年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊882〕348~349頁1995年9月/齋藤周・法律時報67巻11号79~
判決理由 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定方法〕
 本件請求期間に上告人らに支給された前記の歩合給の額が、上告人らが時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものではなく、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことからして、この歩合給の支給によって、上告人らに対して法三七条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難なものというべきであり、被上告人は、上告人らに対し、本件請求期間における上告人らの時間外及び深夜の労働について、法三七条及び労働基準法施行規則一九条一項六号の規定に従って計算した額の割増賃金を支払う義務があることになる。
〔雑則-附加金〕
 そして、本件請求期間における上告人らの時間外及び深夜の労働時間等の勤務実績は、本件推計基礎期間のそれを下回るものでなかったと考えられるから、上告人らに支払われるべき本件請求期間の割増賃金の月額は、本件推計基礎期間におけるその平均月額に基づいて推計した金額を下回るものでなく、その合計額は、第一審判決の別紙2ないし5記載のとおりとなるものと考えられる。したがって、これと同額の割増賃金及びこれに対する弁済期の後の昭和六三年一月二二日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める上告人らの各請求は、いずれも理由がある。また、上告人らは、法一一四条(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)の規定に基づき、右の各割増賃金額と同額の付加金及びこれに対する本判決確定の日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めているが、本件訴えをもって上告人らが右の請求をした昭和六二年一二月二五日には、本件請求期間における右の割増賃金に関する付加金のうち昭和六〇年一一月分以前のものについては、既に同条ただし書の二年の期間が経過していることになるから、この部分の請求は失当であり、その余の部分に限って右の請求を認容すべきである。