ID番号 | : | 06286 |
事件名 | : | 退職金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | アイ・ケイ・ビー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社を退職した者に対して会社が、懲戒解雇に相当する事由がある者には退職金は支給しないとして退職金の支払いを拒否したため、退職金規定所定の退職金を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法11条 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 退職金 / 懲戒等の際の支給制限 |
裁判年月日 | : | 1994年6月21日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 12356 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労経速報1536号10頁/労働判例660号55頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-退職金-懲戒等の際の支給制限〕 懲戒解雇にともなう退職金の全部又は一部の不支給は、これを退職金規定等に明記してはじめて労働契約の内容となしうると解すべきところ、本件において、成立に争いのない(証拠略)によれば、被告の退職金規定は、その五条で「懲戒解雇になったものには退職金は支給しない。」、七条で「就業規則に定める懲戒基準に該当する反則が退職の原因となった者に対しては、その者の算定額から五〇パーセント以内を減額することができる。」と定めているが、懲戒解雇に相当する事由がある者には退職金を支給しない旨の規定は存在しないことが認められる。 してみると、仮に被告が主張するような懲戒解雇相当の行為が原告にあったとしても、現に被告が原告を懲戒解雇したとの主張・立証がない(もっとも、前記のとおり、原告が被告を平成四年一一月三〇日に退職したことにより、原告・被告間の雇用契約が終了している以上、その後に被告が原告に対し懲戒解雇の意思表示をしたとしても、その効力はない。)以上、右行為が存在することのみを理由として退職金の支払を拒むことはできないと解するのが相当である。なお、被告の主張する前記行為が、原告の退職の原因であったとする主張・立証はない。 |