ID番号 | : | 06324 |
事件名 | : | 未払賃金請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | 沼津交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社が定めた勤務予定表どおり出勤した者に対して支払われる皆勤手当が年次有給休暇の取得により減額・不支給とされる措置の効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法39条 労働基準法134条 |
体系項目 | : | 年休(民事) / 年休取得と不利益取扱い |
裁判年月日 | : | 1992年3月18日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ネ) 4399 |
裁判結果 | : | 取消,棄却 |
出典 | : | 東高民時報43巻1-12号18頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔年休-年休取得と不利益取扱い〕 本訴で控訴人が請求する減額、不支給となった皆勤手当の金額は、最大で昭和六三年度で月額三一〇〇円、平成元年度で月額四一〇〇円であり、当月の給与支給額との対比でみると、最大でも現実の給与支給額の二パーセント弱に過ぎない。また前記三3の被控訴人の有給休暇取得の実情によると、被控訴人は昭和六二年八月から平成三年二月までの四三か月間に四二日の実有給休暇を取得し、それ以外の有給休暇九日分については被控訴人の任意の意思に基づき、控訴会社が買い取っているから、被控訴人の有給休暇取得がとりたてて低率であったと認めることはできない。 3 以上を総合考慮すると、本件皆勤手当の減額、不支給が被控訴人の有給休暇取得を事実上制約する抑制的効果を持っていたとまでは認めることができず、他方、控訴人はその後組合との間の自主的な労使交渉に基づき労働基準法一三四条に従い皆勤手当の支給における有給休暇取得の取扱いを是正していることが認められるから、控訴人が被控訴人に別表(二)欄〔皆勤手当不払額〕記載のとおり合計一万五九五〇円の皆勤手当を支給しなかったことをもって直ちに公序良俗に反して無効であるとすることはできないと解すべきである。 |