ID番号 | : | 06326 |
事件名 | : | 解雇無効確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 千種運送店事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 勤務態度不良等を理由に解雇された労働者が、解雇の真の理由は年休権を行使し、他の従業員に対し年休制度についての啓蒙をはじめたことにあるとして解雇の効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法39条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇権の濫用 退職 / 合意解約 |
裁判年月日 | : | 1992年3月25日 |
裁判所名 | : | 千葉地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 1379 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例617号57頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇権の濫用〕 労働者にはその有する休暇日数の範囲内で年次有給休暇が与えられなければならないのであるから、労働者が年次有給休暇の権利を行使したことだけを理由として当該労働者を解雇するようなことは、解雇権の濫用にあたり許されるものではない。また、年次有給休暇の権利に関して正当な認識がなされておらず右権利を行使することが困難な実情にある事業所の労働者が、その改善のため同僚を啓蒙し休暇をとる場合には有給休暇として休むよう働きかけることも、それ自体は、年次有給休暇制度に関する法令の趣旨目的に照らし相当な行為ということのできるものであり、これだけを理由として当該労働者を解雇することは解雇権の濫用として許されない。 〔退職-合意解約〕 被告は、合意解約の主張をしている。そして、原告が被告主張の日に同主張の三〇万円を受領したこと及び原告が離職票の交付を要求してこれを受領したことは当事者間に争いがない。しかし、前記証言及び本人尋問の結果によれば、原告は解雇を承諾したことはなく、ただ、無効な解雇であり不就労期間の賃金請求権を失わないことを明示して右三〇万円を受領し、また、被告の賃金不払いに備え雇用保険給付を受けるため離職票を受領したにすぎないことを認めることができる。そうすると、被告主張のことだけでは合意解約の成立を認めることはできず、そのほかに右主張を認めるに足りる証拠はない。 |