ID番号 | : | 06343 |
事件名 | : | 雇用関係存在確認請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 国鉄清算事業団(鹿児島鉄道管理局等)事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 旧国鉄における合理化反対闘争の指導を理由として懲戒免職処分を受けた国労鹿児島地本執行委員、同支部委員長がその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 日本国有鉄道法31条1項 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の限界 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1993年4月30日 |
裁判所名 | : | 鹿児島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 昭和59年 (ワ) 223 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例633号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の限界〕 懲戒権者が懲戒事由に当たる行為をした職員に対し、右四種の懲戒処分の内、具体的にどの処分を選択すべきかについての基準を定めた規定はない。懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の外部に表れた態様のほか、その右行為の原因、動機、状況、結果、当該職員のその前後における態度、懲戒処分等の処分歴、社会的環境、選択する処分が他の職員及び社会に与える影響等の諸般の事情を総合考慮したうえで、国鉄の企業秩序の維持確保という見地から相当と判断した処分を選択すべきである。そして、右懲戒処分の選択の判断については、懲戒権者に裁量が認められているものと解される。 しかし、懲戒権者の裁量は恣意にわたることを得ず、懲戒権者の選択が、当該行為との対比において甚だしく均衡を失する等社会通念に照らして合理性を欠く場合は、当該懲戒処分は懲戒権者の裁量の範囲を越えるものとして違法無効と解すべきである。〔中略〕 右(二)(1)ないし(3)などの諸般の事情を総合考慮すれば、懲戒権者である国鉄総裁のした本件免職処分は、当該行為との対比において甚だしく均衡を失する等社会通念に照らして合理性を欠くものとはいえず、本件免職処分が懲戒権者の裁量の範囲を越えるものではないから、有効と解すべきである。〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 (七)鹿児島機関区、都城客貨車区、鹿児島運転所及び鹿児島運転支所においては、運転区所における車両検修業務の部外能力活用範囲の拡大等の実施にあたり、三月九日から一六日までの間、作業内容の変更等についての説明会を開催したが、国労所属の職員はこれに参加せず、点呼拒否、就業拒否、業務妨害などの行為をしたため、列車の出発が遅れたこと、(八)鹿児島車両管理所においては、三月七日から四月四日までの間、多数の組合員が同管理所には直接関係のない合理化三案をとりあげ、国労鹿児島地本への支援と称し、同管理所当局に抗議を繰り返し、組合旗の掲揚及び腕章・ワッペンの着用をしたほか、年休が承認されないまま、職場を放棄したこと、(九)鹿児島電力区出水支区においては、組合員らが、電気保全業務改善計画に伴う、組織変更に抗議し、同支区長の事務引継ぎを妨害したこと、(一〇)三月九日から三月二六日にかけて国労組合員の手によって、西都城駅ほか六六箇所の現業機関等の建物に合計五万八〇六二枚の、四一本の列車に合計二万二五八二枚もの数多くのビラが貼られたことなどの事情を総合すると、国労鹿児島地本所属の組合員は、極めて長期間、広域にわたって、積極的に当局の経営権ないし管理権に介入し、職場の秩序を乱し、業務の正常な運営を阻害したものといえる。 |