ID番号 | : | 06346 |
事件名 | : | 公務外認定処分取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 地公災基金福岡支部長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 小学校の給食調理員が勤務中に感電事故に遇い、狭心症になったとして公務災害認定を請求したのに対して、公務外の認定を受けたため、その認定処分の取消を求めた事例。 |
参照法条 | : | 地方公務員災害補償法29条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等 |
裁判年月日 | : | 1993年9月14日 |
裁判所名 | : | 福岡地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成3年 (行ウ) 12 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | タイムズ837号259頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕 疾病が公務に起因する災害と認められるか否かは、公務と疾病との間に相当因果関係が認められるか否かによる。相当因果関係があるというためには、公務に従事していなかったならば、当該疾病は生じなかったであろうという条件関係であるだけではたりず、当該疾病のもろもろの原因のうち公務が相対的に有力な原因であることを要する。しかし、公務が、最も有力な原因であることまでは必要ではなく、他に競合しあるいは共働する原因があっても、それが同じく相対的に有力な原因であったとしても、相当因果関係を肯定する妨げにはならない。 そして、その立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、事実と結果の間に高度の蓋然性を証明することであり、その判定は通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りる。 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕 この事実を前提にして判断するに、原告には、本件感電事故以前において狭心症を発症するような予兆は特に認められず、同事故以来狭心症の症状を呈するようになったこと、胸の痛みは感電事故後約二週間してから発生し時間的にも接着していること、証人Aの証言によれば、電気ショックが一つの誘発原因になって狭心症の素因が引き出され、狭心症が発症したと考えられること、その他特に原因となる事情が認められないこと等からすると、本件感電事故が相対的に有力な原因であり、公務と疾病との間の相当因果関係を認めるのが相当である。 |