全 情 報

ID番号 06353
事件名 損害賠償請求各控訴事件
いわゆる事件名 大久保製壜所(長崎)事件
争点
事案概要  労働組合指導者を解雇する口実を得る目的で覚せい剤を右指導者が所持しているかのような外観を作り出し、その旨を警察に通報して逮捕させた会社代表者に対して、右労働組合指導者が損害賠償を請求した事例。
参照法条 民法709条
民法44条1項
商法261条3項
商法78条2項
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償
裁判年月日 1994年2月28日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ネ) 2443 
平成5年 (ネ) 2550 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例655号68頁
審級関係 一審/06344/東京地/平 5. 6.17/平成2年(ワ)4630号
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 当裁判所の判断は、次のとおり訂正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第三に記載のとおりであるから、これを引用する。〔中略〕
 本件は警察権力を利用し、一審原告を犯罪者に仕立て上げることによって、労務対策の手段として労働組合の活動家である同人を会社から排除するだけでなく、その社会的生命までも葬り去ろうとした極めて異常な目的及び手段によって敢行された不法行為であり、その結果、全く身に覚えのない嫌疑で逮捕され、その身柄拘束期間中、被疑者として捜査官から厳しい追及を受けるとともに、手錠や腰縄の姿で連行されたり、カテーテルの使用による強制採尿を受けるなどによって被った一審原告の精神的、肉体的な苦痛は甚大というべきであり、一審被告らが今なお本件誣告についての一審被告乙二の関与を頑強に否定して謝罪すらしていないことをも考え併せれば、本件により一審原告が被った精神的損害を慰謝するための金額として三〇〇万円が相当というべきである。