全 情 報

ID番号 06356
事件名 労働契約関係確認請求事件
いわゆる事件名 大申興業事件
争点
事案概要  市から委託されてし尿処理を業務として行う者から「事業の縮小等止むをえない業務の都合がある時」に当てはまるとして解雇された者がその解雇の効力を争った事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件
解雇(民事) / 解雇権の濫用
裁判年月日 1994年3月24日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 1206 
裁判結果 認容
出典 労働判例664号71頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-整理解雇-整理解雇の要件〕
 整理解雇は、労働者の責めによらない事由でその生活の基盤を失わせるものであるから、経営者において、解雇回避のために相当の努力を尽くした後でなければこれを行うことはできないと解すべきである。〔解雇-解雇権の濫用〕
四 被告は、し尿収集の受託業務がなくなった時点で解雇をすれば激しい労使紛争が生じるから、これを避けるためには今から順次人員整理を実施する必要があると主張するが、このような抽象的な将来の労使紛争のおそれをもって就業規則の右規定にいう「事業の縮小停止等止むを得ない業務の都合がある時」に当たるとはいえないし、原告が警察に注目されていたとの被告の主張は、それがどのようなことを意味するのかも明らかでないし、原告が朝の就業開始前後に地連に加入したことを通知するビラを配布したとの主張事実も就業規則の右規定に当たるとはいえない。むしろ、(〈証拠略〉)によれば、被告は、平成三年一一月一二日、原告が地連に加入したことを知って、脅したり、懐柔しようとしたりして地連から脱退させようとしたが、原告がこれに応じなかったために解雇したものであると認められる。
五 そうすると、本件解雇は、解雇事由がないのになされたものであって、解雇権を濫用するものとして無効である。