全 情 報

ID番号 06361
事件名 転勤命令効力停止仮処分申立事件
いわゆる事件名 愛媛県森林組合連合会事件
争点
事案概要  松山の木材センターに配置され総務部企画管理等の仕事に従事し、他方で愛媛県森連組合の労働組合委員長でもあった者が、木材市売場への配転命令につき不当労働行為として争った事例。
参照法条 労働基準法2章
労働組合法7条1号
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
裁判年月日 1994年3月31日
裁判所名 松山地
裁判形式 決定
事件番号 平成5年 (ヨ) 109 
裁判結果 認容
出典 労働判例660号64頁
審級関係
評釈論文 蓮井俊治・判例タイムズ913号358~359頁1996年9月25日
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 債務者は、本件配転命令の発令に当たり、債権者の父親に対する看護の便を考慮したというよりも、むしろ、第一次配転命令についての仮処分決定の際、その理由の一つに、北宇和郡広見町在住の父親に対する看護が困難になることが挙げられたことを逆手に取り、同じ北宇和郡広見町に存在する北宇和木材市売場への配転命令であれば、債権者も正面からは争いにくくなり、裁判所も有効と認めるのではないかとの判断のもとに、本件配転命令の発令を決定したものと推測される。
 2 そして、これまでに認定・判断したところを総合すると、本件配転命令は、債務者が業務上の必要性もないのに、椎茸不正経理問題に対する債権者の一連の組合活動を嫌悪し、債権者を職場内で孤立させ、同調者に対する見せしめとするとともに、債権者労組の組合活動を妨害する目的で行ったものと認められ、その結果債権者の受ける不利益の程度に照らすと、本件配転命令は、不当労働行為であるとともに、配転命令権の濫用として無効というべきである。