ID番号 | : | 06362 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 足立建設事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 下水道埋設工事現場で土砂が崩れ、傾いた軽量鋼矢板にはさまれ負傷した労働者が、使用者に対して安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法415条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任 |
裁判年月日 | : | 1994年4月15日 |
裁判所名 | : | 静岡地浜松支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 323 |
裁判結果 | : | 一部認容 |
出典 | : | 労働判例664号67頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕 本件工事においては、被告は、土砂崩れの危険がある溝の中で従業員を作業させるに際し、土砂崩れを防止するに十分な土留め設備を施し、従業員の身体を保護すべき義務を負っていると認められる。前記認定の事実によれば、本件工事の通常の土留め工程自体には問題がないと認められるから、その工程が確実に履行されていれば、本件事故は発生していなかったはずである。そこで、本件事故現場における土留め作業の内容に何らかの手落ちがあったことが推測される。〔中略〕 原告は被告の安全配慮義務違反の事実について証明責任を負うものであるところ、本件工事においては、土留め設備が通常有するべき安全性を、本件事故現場においては有していなかったと認められるから、具体的な事故原因については、前記のような相当程度の可能性が証明されていれば足ると解するべきである。 そうすると、本件においては、被告において、本件事故が原告の行為により生じたことか、被告に過失がなかったことを証明しない以上、安全配慮義務違反の責を負い、本件事故による原告の損害につき賠償すべき責を負う。 |