全 情 報

ID番号 06373
事件名 地位保全等仮処分申立事件
いわゆる事件名 大阪労働衛生センター第一病院事件
争点
事案概要  週三日勤務の病院職員が、病院から常勤となるか他のパート並みの労働条件への引下げを提案され、これに応じないことを理由として解雇され、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 就業規則所定の解雇事由の意義
解雇(民事) / 解雇事由 / 已ムコトヲ得サル事由(民法628条)
裁判年月日 1994年7月12日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成6年 (ヨ) 687 
裁判結果 認容,一部却下
出典 労働判例660号53頁
審級関係
評釈論文 三浦隆志・判例タイムズ913号330~331頁1996年9月25日
判決理由 〔解雇-解雇事由-就業規則所定の解雇事由の意義〕
〔解雇-解雇事由-已ムコトヲ得サル事由(民法628条)〕
 使用者が労働条件の変更(低下)を提案した場合、これに同意しないこと、同意しない場合は退職届を提出せよとの指示に従わないことのみをもって、その労働者の解雇を正当とすることはできないし、本件においては、債務者と債権者の間に同意が得られないまま、債務者において、債権者の平成五年のベア、定時昇給の不実施、同年の年二回の一時金の半額支給等の措置がとられているが、債権者においては、労働基準監督署に相談したり、弁護士に依頼して債務者に対し従前どおりの労働条件の実施を請求したりはしたものの、平穏に勤務を継続しており(〈証拠略〉)、債務者においては、他の職員が不平不満を抱いているというものの(〈証拠略〉)、債権者を解雇しなければならないような混乱が生じているわけではないし、債務者を解雇することが債務者の事業の都合によりやむをえない場合にあたるというに足りる事情は認められない。
 結局、本件解雇を正当とするに足りる理由は認められず、本件解雇は解雇権の濫用にあたるものとして無効というべきであり、債権者は、債務者の従業員たる地位を有するものであることが認められ、その保全の必要性もまた認められる。