ID番号 | : | 06377 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 西井運送事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社でトラツク運送、荷受け作業を経てフリードライバー対応現場作業と不定期の臨時便運送の業務に従事していた労働者が、急に言い渡された名古屋行きを断ったことを理由として懲戒解雇され、右懲戒解雇は当該労働者の組合活動を理由とする不当労働行為であるとして地位保全等の仮処分を申請した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒手続 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 自宅待機命令・出勤停止命令 |
裁判年月日 | : | 1994年7月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成6年 (ヨ) 1910 |
裁判結果 | : | 認容 |
出典 | : | 労働判例674号103頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕 債務者は右懲戒解雇の意思表示を撤回しているが、意思表示の撤回は、当該意思表示が相手方に到達する前にのみ認められ、その意思表示が相手方に到達し当事者に権利義務が発生した後は、撤回は認められないものであること、債務者はその意思表示の撤回に応じた国民健康保険等の資格喪失届けの撤回手続きをせず、又撤回と同時に自宅待機を命じて原職復帰を認めていないこと、債権者も本件仮処分の申立を維持して、この意思表示の効力を争っていることからすると、債権者の雇用契約上の地位の確認を求める訴訟上の利益を認めることができる。〔懲戒・懲戒解雇-懲戒手続〕 債務者が、本件懲戒解雇の理由として挙げる、就業規則第三〇条(一)および第三二条(一)、賞罰規程第一四条(一五)(一六)に違反する行為は、そもそも形式上も懲戒解雇事由である債務者の賞罰規程第一四条第一号ないし第六号に該当せず、又債務者は本件解雇の言渡しに際し、賞罰規定に定める懲罰委員会の調査も行わず、さらに賞罰委員会の開催も処分に関する決議も行っておらず、債務者自らが定めた手続きに違反しているものであることからすると、本件懲戒解雇の意思表示は、権利の濫用であり、無効である。〔労働契約-労働契約上の権利義務-自宅待機命令・出勤停止命令〕 一般に労働者は、就労することに特別の利益がありそれについて使用者もこれを了知している場合や、就業規則に特別の定めがある場合を除き、就労請求権を有しないが、しかし本来使用者は雇用確保のために雇用契約をするものであり、自宅待機は就労を拒否することにより事実上も労働者に対し不利益を与えるものこと(ママ)もあるから、自宅待機命令は合理的な必要があり、その必要性と対比して相当の不利益を与えない場合にのみ認められるべきものである。〔中略〕 債務者は、本件自宅待機命令の理由として、債権者が複数の日に債務者の指揮命令に反して自動車乗務命令を拒否したと主張をするが、右事由は本件懲戒解雇事由と同一事由とそれ以前に発生した事由であり、同種の指揮命令違反を内容としていること、債務者は右懲戒解雇処分を撤回する旨の意思を表示していることや、債権者の審尋の結果等からすると、その指揮命令の存在自体が認められるか否かも問題があると認められるところ、債務者はその指揮命令とその違反行為の存在について何らの疎明もしないものであるから、本件自宅待機命令はそもそも、賞罰規定第一六条第二項に定める自宅謹慎命令の要件に該当すると認めることができず、第二〇条第二項に定める経営上の必要ある場合に該当するとしても、その疎明がないことになる。 |