ID番号 | : | 06400 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 医療法人仙養会事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 許可なく会計係室に入ったことを理由とする懲戒解雇につき、入室の動機、態様、入室により損害が生じたとはいえないこと、始未書を提出していること等により、懲戒解雇事由には該当しないとされた事例。 勤務態度につき自己中心的で協調性に欠けることを理由に予備的解雇がなされたケースにつき、これを疎明するものがなく権利の濫用に当たるとされた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如 |
裁判年月日 | : | 1994年10月21日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成5年 (ヨ) 3510 |
裁判結果 | : | 認容,一部却下 |
出典 | : | 労経速報1554号3頁/労働判例674号93頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 債権者が債務者主張の日に、許可なく会計係室に入ったことは前記認定のとおりであるけれど、入室の動機、態様、右入室により債務者に損害が生じたとは窺えないこと並びに無断入室について既に始末書を提出していることなどからするとこれをもって就業規則に定める懲戒解雇事由に該当するとはいえない。 また、債権者が平成五年九月一〇日、一一日に欠勤したことも前記認定のとおりであるが、欠勤に至った事情及び債権者がなした連絡並びにその後右欠勤が有給休暇として処理され、格別の注意を受けなかったことに照らすと、この欠勤が就業規則の懲戒解雇事由に該当するということはできない。 また、債務者は、債権者に日常の職務遂行について数々の就業規則違反の事実があったと主張するが、債権者は前記認定のとおり、配置換えにより、本件病院でいくつかの職務に就いたけれど、その際勤務振りについて特別の注意を受けたことはなく、本件全疎明資料によっても債権者に就業規則の懲戒解雇事由に該当する行為があると認めることはできない。 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕 債務者は、債権者の勤務態度について自己中心的で協調性に欠けるなどとして種々の事実を主張するが、主張自体が抽象的なものもあるほか、具体的事実についてもこれを疎明するに足りる資料はなく、前記認定、判断からして債権者に解雇に該当する事由はなく、予備的解雇は権利の濫用として無効というべきである。 |