全 情 報

ID番号 06429
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 真備学園事件
争点
事案概要  基礎疾病としての高血圧症をもつ私立高校教師が昼休み中に、応接室で生徒に注意、指導中昏倒し脳内出血で死亡した場合につき、被告学校は安全配慮義務を尽していないとして損害賠償の支払いが命ぜられた事例。
参照法条 労働安全衛生法3条
労働安全衛生法13条
学校保健法16条
民法415条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1994年12月20日
裁判所名 岡山地
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (ワ) 174 
裁判結果 認容,一部棄却
出典 労働判例672号42頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 定期の健康診断の項目に血圧検査があれば、Aの悪性の高血圧症は容易に判明したものということができ、また、尿検査についても、受検を促し、他で検査したというならば、その結果の報告を義務付け、しかも、健康診断個人票を作成していれば、同人の悪性の高血圧症の原因ともいうべき腎疾患の存在と程度を含む総合的な健康状況を容易に把握し得た筈であり、そうなれば、それ相応の仕事量の調整や勤務形態の変更等の(前記修学旅行の引率の際における校長の引き止め勧告のような通り一遍の健康に対する気遣いといった域を超えた)抜本的対策(教頭代行の交替等職務負担の大幅軽減、場合によっては一時入院等の措置)をとることが期待できたものと推認できるところ、これらの健康管理に関する措置や体制の整備を漫然と怠っていた当時の学校の態度は、前記諸法規の要求する労働安全衛生保持のための公的な責務を果たさない不十分なものであったと同時に、職員らに対する雇用契約関係上の付帯義務として信義則上要求される健康管理に関する安全配慮義務にも反していたものと認めるのが相当である。