全 情 報

ID番号 06432
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 インターセプター・メディア・ソフトサービス事件
争点
事案概要  経営状態の悪化、事業の継続の困難性を理由とする解雇予告につき、経営が逼迫していることまでの具体的な疎明がなく、解雇回避努力も尽されておらず、組合との団体交渉を回避し、組合員を排除することを目的としてなされたもので、解雇権を濫用したもので無効とされた事例。
参照法条 労働基準法3章
労働組合法7条1項
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の必要性
解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の回避努力義務
裁判年月日 1995年1月10日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成6年 (ヨ) 3383 
裁判結果 認容,一部却下
出典 労経速報1563号3頁/労働判例680号88頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-整理解雇-整理解雇の必要性〕
〔解雇-整理解雇-整理解雇の回避努力義務〕
 審尋の全趣旨によれば、東京本社においては九月に四、五名の社員が債務者の勧奨によると思われる退職をしていることが一応認められ、これに大阪支店においても九月一日に前記八項目の通達をなしていることをも合わせ考えると、確かに九月当時における債務者の経営状態が芳しくなかったであろうことは窺えるものの、それ以上に解雇による人員整理を必要とする程度に経営が逼迫していることまでの具体的な疎明はない(一方で新規社員を募集し、採用していることに照らせば尚更である。)
 また、債務者が従業員の解雇を回避するためにいかなる努力をなしたかも具体的な主張もなく不明である。
 さらに、仮に人員削減の必要性があったとしても、大阪支店においてはその後も三名の人員により営業が継続されているのであるから、従業員全員を解雇するまでの必要性は存在しないというほかない。
 したがって、本件解雇通告は整理解雇の要件は満たしておらず、また、就業規則二七条の「業務の都合上やむをえないとき」にも該当せず、むしろ、前記認定事実のとおり、債務者が、大阪支店の従業員が組合を結成し、団体交渉を行っている最中に、組合員である全従業員を解雇し、その後は本社からの配置転換や新規採用社員により支店における営業を継続するという事態に鑑みると、本件解雇通告は、組合との団体交渉を回避し、組合員を排除する目的でなされたものであると認めるのが相当である。
 そうすると、本件解雇通告及びこれに基づく解雇は、解雇権を濫用してなされたものであり、無効というべきである。