ID番号 | : | 06451 |
事件名 | : | 地位保全仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | スカンジナビア航空事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 経営危機にある会社の再建策として会社から再雇用の申し込みを伴う解雇予告の意思表示(いわゆる変更解約告知)がなされたのに対して、右解雇予告の意思表示に応ずることなく、再雇用の申し入れをしない従業員が解雇され、その効力が争われた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件 解雇(民事) / 変更解約告知・労働条件の変更 |
裁判年月日 | : | 1995年4月13日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成6年 (ヨ) 21204 |
裁判結果 | : | 却下(抗告) |
出典 | : | 労働民例集46巻2号720頁/時報1526号35頁/タイムズ874号94頁/労経速報1561号3頁/労働判例675号13頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 岡田健・判例タイムズ913号340~341頁1996年9月25日/荒木尚志・ジュリスト1072号127~130頁1995年7月15日/砂押以久子・立教大学大学院法学研究16号86~93頁1996年10月/上条貞夫・労働法律旬報1365号11~22頁1995年8月10日/塚原英治、宮川泰彦、佐藤誠一、則武透、鳥海準・労働法律旬報1359号10~18頁1995年5月10日/藤原稔弘・季刊労働法178号186~189頁1996年5月/藤川久昭・平成7年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1091〕190~192頁 |
判決理由 | : | 〔解雇-変更解約告知・労働条件の変更〕 会社と債権者ら従業員との間の雇用契約においては、職務及び勤務場所が特定されており、また、賃金及び労働時間等が重要な雇用条件となっていたのであるから、本件合理化案の実施により各人の職務、勤務場所、賃金及び労働時間等の変更を行うためには、これらの点について債権者らの同意を得ることが必要であり、これが得られない以上、一方的にこれらを不利益に変更することはできない事情にあったというべきである。 しかしながら、労働者の職務、勤務場所、賃金及び労働時間等の労働条件の変更が会社業務の運営にとって必要不可欠であり、その必要性が労働条件の変更によって労働者が受ける不利益を上回っていて、労働条件の変更をともなう新契約締結の申込みがそれに応じない場合の解雇を正当化するに足りるやむを得ないものと認められ、かつ、解雇を回避するための努力が十分に尽くされているときは、会社は新契約締結の申込みに応じない労働者を解雇することができるものと解するのが相当である。〔中略〕 以上によれば、会社が、債権者A、同B、同C、同D、同E、同F、同G、同H、同Iに対し、職務、勤務場所、賃金及び労働時間等の労働条件の変更をともなう再雇用契約の締結を申し入れたことは、会社業務の運営にとって必要不可欠であり、その必要性は右変更によって右各債権者が受ける不利益を上回っているものということができるのであって、この変更解約告知のされた当時及びこれによる解雇の効力が発生した当時の事情のもとにおいては、右再雇用の申入れをしなかった右各債権者を解雇することはやむを得ないものであり、かつ、解雇を回避するための努力が十分に尽くされていたものと認めるのが相当である。 〔解雇-整理解雇-整理解雇の要件〕 企業の業績不振にともなう人員削減としての解雇が肯定されるためには、その解雇時点において人員削減の必要性について使用者側に合理的かつ客観的な理由があり、解雇を回避するための努力が十分に尽くされていることを要するものというべきであり、業績不振にともない一定の職種の労働者の労働力が不要になった場合、企業の規模、人員削減の必要性の程度、その労働者の職種転換の能力などを総合考慮して、その者を雇用し続けることが企業経営上困難であり、その者を解雇することが雇用契約上の信義則に照してやむを得ないものと認められる場合、当該労働者の解雇は有効なものであると解するのが相当である。 |