全 情 報

ID番号 06455
事件名 退職金等請求本訴、貸金返還請求反訴事件
いわゆる事件名 尾崎町農協事件
争点
事案概要  退職金の請求につき、参事の地位にありながら部下の入金出金手続を十分に管理しなかったことにより、会社に損害を与えたとして、懲戒解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1995年4月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 1543 
平成5年 (ワ) 3916 
裁判結果 一部認容,一部棄却・棄却
出典 労経速報1573号3頁/労働判例680号59頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 原告主張のように被告がAと取引関係を持つに至ったことなど本件懲戒事由発生に至る経緯について、当時の参事であったBに多大の責任があると仮定しても、本件懲戒事由は、Bの退職した八か月以上後に発生しており、当時、原告は、職員の最高責任者である参事として、これに対処する職員中最も重大な職責を負っていたにもかかわらず、前判示のように職務上の義務に違反し、被告に多大の損害を与えたものであって、原告の右行為は、被告の職場秩序を著しく害し、被告に多大の損害を与え、被告の金融機関としての信用を著しく害するものであることからすると、原告の責任は、Bの右責任を斟酌しても、それ自体極めて重いものといわざるを得ないこと、本件について、C課長が、諭旨解雇し、退職金を支給しないという処分を、当時の貸付課長Dが、減給二パーセント五か月などの処分を受けており、原告が職員の最高責任者たる地位にあり、全職員を監督して、被告の職務を適正に遂行する職員中最も重大な職責を負っていたことに照らすと、本件懲戒処分が、本件懲戒事由に関与した他の職員の処分と比較して重きに失するとはいえないこと、もっとも、Bは、本件問題が発覚する前である平成元年一二月に退職し、格別の処分を受けていないが、本件懲戒事由の発生時及び本件懲戒処分当時、同人が被告の職員たる地位を失っており、同人を処分することが不可能であった上、同人が、被告のAに対する前記の貸金中、同人名義の貸金として仮装された一〇〇〇万円など退職金から計二一三九万円を被告に補填したこと(〈証拠略〉)及び前判示の点も考え併せると、これを理由に本件懲戒が重きに失して違法であるということはできない。
 そして、以上の点に2判示の点及び(人証略)の証言を総合すると、原告に対する本件懲戒処分が重きに失して違法であるということはできず、原告の右主張は、採用できない。