ID番号 | : | 06507 |
事件名 | : | 地位確認等請求控訴事件 |
いわゆる事件名 | : | ケイエム観光事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 観光バス運転手が一八歳の未婚女性であるバスガイドと情交関係を持ったことを理由に解雇され、右解雇の無効を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民法709条 民法715条 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業秩序・風紀紊乱 |
裁判年月日 | : | 1995年2月28日 |
裁判所名 | : | 東京高 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ネ) 5384 |
裁判結果 | : | 取消,認容 |
出典 | : | タイムズ893号152頁/労働判例678号69頁 |
審級関係 | : | 一審/03970/東京地/昭63. 5.27/昭和61年(ヨ)2323号 |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-企業秩序・風紀紊乱〕 本件解雇の事由とされた控訴人とAとの情交関係の事実は、これを認定するに足りず、かえって、右事実は存在しなかったものと認められる(なお、弁論の全趣旨によれば、本件解雇は、普通解雇であるとはいえ、実質的には懲戒解雇であって、被控訴人は、本件解雇事由が不存在であれば、本件解雇が不法行為になるかどうかはともかく、それが無効とされてもやむを得ないと考えていたものと認められる。) したがって、本件解雇は、その解雇事由が存在しないから、その余の点につき判断するまでもなく無効である。 〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕 右のとおり、被控訴人の担当者は杜撰な調査により解雇事由を認定したが、仮にもう少し慎重に調査をすれば、解雇事由が容易には肯定できないことを知り得たものといえるから、被控訴人の右主張は理由がない。 以上によれば、本件解雇は、被控訴人の担当者であるB運行課長及びC運行係長らの過失に基づき、控訴人から、本来継続して有すべき被控訴人との雇用契約上の地位を失わせたものであって、不法行為を構成するものというべきである。 三 争点3について (証拠略)、控訴人本人尋問の結果によれば、控訴人は八年以上の長きにわたり、本件解雇の無効を訴えて被控訴人と抗争することを余儀なくされ、この間、バスガイドとの情交関係という不名誉な事由により解雇された者として、就職もままならず、右のような社会的評価に甘んずるほかなかったこと、本件解雇により、唯一の生活の糧を失い、家族の養育、住宅ローンの返済のため、知人から借金をして凌いで来ざるを得なかったことが認められ、右二に認定の本件解雇に至る経緯その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、控訴人は右不法行為により、精神的苦痛を受けたことは明らかであるところ、これを慰謝するためには七〇〇万円をもって相当と認める。 |