全 情 報

ID番号 06513
事件名 金員支払仮払処分申立事件
いわゆる事件名 津田電気計器事件
争点
事案概要  一時金につき労使間で妥結せず協定が成立していなくても、従来から回答額を支給する慣行があったとして労働者が右慣行に基づいて一時金を請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権
裁判年月日 1995年3月20日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成7年 (ヨ) 90 
裁判結果 一部認容,一部却下
出典 労経速報1587号3頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕
 4 債務者の一時金の支払いの取扱をしてきた期間は長期にわたっており、平成五年夏期、冬期一時金についても、平成元年冬期一時金のように支払いを拒絶しないで、前記一の7、8記載のとおり債務者は一方的に支払いを決定して支払いをしているものであるから、債権者らも、一時金の交渉が妥結に至らない場合でも、債務者が直近の回答額で支払いをすることが確実視していることが認められる。
 5 そうすると債権者らは一時金について妥結に至らない段階でも債務者の直近の回答の額や基準により支給されることと期待しうる立場に至っており、右取扱いはすでに労使の慣行として定着しており、前記債権者らの期待利益は法的に保護するに値するものであって、支払額は債務者の回答額によることとされ、支払時期は、債務者の決定や組合の要請の時から時日を経ていないことなどから、その内容も始期も明確であり、請求権として確定しうるものであること等からすると、この仮払い慣行により債権者らは、一時金の支払いについて、労使の協定が成立せず妥結していない段階でも、債務者の回答した金額又は基準により算出した支払いを請求する権利を有するものというべきである。
 6 債務者は、「仮払い慣行」が廃止されたことを主張せず、又その廃止につき合理的な理由のあることを主張せず、又その疎明もしないから、仮払い慣行は現在も継続して効力を有しているものというべきである。