全 情 報

ID番号 06533
事件名 退職金等請求事件
いわゆる事件名 リックグループマネージメントセンター事件
争点
事案概要  社長運転手として雇用されていた労働者が、業務上の事由により解雇され、雇用期間中の時間外勤務手当、深夜勤務手当等が支払われていなかったとしてその支払いを求めた事例。
参照法条 労働基準法37条1項
体系項目 賃金(民事) / 割増賃金 / 違法な時間外労働と割増賃金
裁判年月日 1995年5月31日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成6年 (ワ) 9109 
裁判結果 認容
出典 労経速報1579号14頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-割増賃金-違法な時間外労働と割増賃金〕
 (一) 被告は、原告を雇用する際、原告との間で、原告に対し、技能手当を支払う代わりに、就業規則及び給与規程所定の時間外勤務手当、深夜勤務手当を支払わない旨の本件合意を締結した旨主張し、(人証略)中には、原告を雇用する際、残業手当をつけないと説明した旨の供述部分があり、平成四年六月一日、被告が社内の時間外労働の取扱いを定めた文書(書証略)には、その対象者として、原告の名が記載されていないこと、原告が、勤務期間中、被告に対し、金額を明示して時間外勤務手当及び深夜勤務手当の請求をしたことがないことが認められる。〔中略〕
 (三)のみならず、前判示の被告の就業規則及び給与規程の定めによれば、技能手当が、所定時間を超える労働や深夜労働に対する対価という性質を有するものとは認められず、原告が、被告に対し、労働契約において、労働基準法三七条に定める割増賃金の支払を請求しない旨約したとしても、同条の規定に違反し、無効と解すべきことが明らかであるので(同法一三条)、仮に、本件合意が締結されたとしても、本件合意は、同法三七条に違反し、その効力を有しないものというべきである。