ID番号 | : | 06550 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 大阪運送会社セクシャルハラスメント事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 高卒の新入社員として運送会社に入社した女性職員が同社の社長から性的嫌がらせを受けたとして、同人に対して損害賠償を請求した事例。 |
参照法条 | : | 民法709条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント |
裁判年月日 | : | 1995年8月29日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成6年 (ワ) 13302 |
裁判結果 | : | 一部認容(控訴) |
出典 | : | タイムズ893号203頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕 以上に認定したところによれば、被告は原告の意思を無視して性的嫌がらせというべき言動を繰り返し、原告を困惑させて、結局退職させる結果を招いたものであって、被告は原告の勤める会社の代表者であり、同社は被告の個人企業ともいうべき中小企業であるから、代表者である被告は率先して、その職場環境の維持改善を図るべきであるにもかわらずこれを怠るばかりか、積極的に悪化させたものである。原告は、母子家庭で、高校を卒業し、初めて社会人としての生活を始めたばかりの一八歳の女性で、父がかつて勤務していた関係でようやく就職できた会社であったこと等前記認定の事実を考慮すると、前記一連の被告の行為は、原告に対する人格権の侵害であるということができる。 そして、原告にとって、右被告の言動は相当の精神的苦痛を与えたものであり、被告としては、かかる一連の言動により、原告に相当の精神的苦痛を与えるものであることを十分に予見しえたものというべきである。 以上のとおりの次第であるから、被告は、前記一連の言動につき、原告に対し不法行為責任を負うものというべきである。 三 原告は、前記認定のような被告の言動により、相当の精神的苦痛を感じ、欠勤さらには退職するに至り、初めてついたその職を失ったこと、本件の被侵害利益が女性としての尊厳に係わるものであること等前記認定の諸般の事情を考慮すると、原告が被った精神的苦痛は相当のものであり、この精神的損害に対する慰謝料の額は金五〇万円をもって相当と認める。 |