ID番号 | : | 06578 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分事件 |
いわゆる事件名 | : | コンテム事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 情報処理加工販売・各種印刷物制作販売を行う会社で雇用され、印刷のレイアウト、版下作業の業務に従事してきた労働者が、コンピューター化に熱心でなかった等業務不適格を理由に解雇されその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量 |
裁判年月日 | : | 1995年10月23日 |
裁判所名 | : | 神戸地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成7年 (ヨ) 252 |
裁判結果 | : | 認容,一部却下 |
出典 | : | 労働判例685号43頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-職務能力・技量〕 阪神大震災の影響による業績の悪化は、債務者代表者に対する審尋の結果によれば、債務者の社屋や機器に被害はなく、主として取引先が被害を受けた結果による業績の悪化であったことが認められるのであって、本件解雇の予告の時点における債務者の判断として、震災以後の業績の悪化がある程度恒常的なものであることを認めるに足る疎明はなく、また、業績の悪化を回避するのに雇用調整以外の方法、例えば、役員報酬や従業員全般の給与をある程度減額するなどの方法がなかったと認定するに足る疎明もない。次に、債権者がコンピュータ化に熱心でなかった点についてみるに、そのことが債権者の生産性の低下を招いたと言い切れないことは、前記3のごとく債務者の業務におけるコンピュータ化が熟成した状況にあったとまでは認められないことからして明らかで、コンピュータ化に対し債権者に熱意がなかったことをもって、本件解雇の理由とするのは時期尚早であったというべきである。また、債権者の約一・二%程度の生産性の低下をもって本件解雇の一理由とするのは、債権者の五一歳という年齢に配慮すると、いささか過酷である。そうすると、債務者の主張する本件解雇の主たる理由はいずれも根拠がなく、債権者が欠勤(本件解雇予告までは八日間である。)したり、突然有給休暇をとったことやボーナスの件で放言したことその他は、就業規則四二条二号の「業務上やむを得ないとき」の解雇理由には当たらない。 |