ID番号 | : | 06609 |
事件名 | : | 不当労働行為救済命令取消請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 小南記念病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 組合委員長に対する解雇につき、組合を嫌悪し、その弱体化や排除を意図してなされた不当労働行為であるとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働組合法7条1号 労働組合法7条3号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1995年12月22日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (行ウ) 12 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例695号119頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 原告は、病院開設当初から、後に補助参加人の組合員となった従業員らと対立し、補助参加人結成後、その対立がますます激化していったものであり、その間、右従業員らが、多くの入院患者や外来患者がいるにもかかわらず、職場を離脱し、業務を放棄してしまったことには病院の従業員として責められるべき点があり、また、Aらが昭和六三年九月七日に行った記者会見によって原告が重大な打撃を受けたことは容易に推測できるものの、原告と補助参加人との間において、昭和六三年一二月二四日に本件和解が成立した以上、原告もこれを遵守し、労使関係の正常化に向けて誠実に努力する義務があったというべきである。それにもかかわらず、原告は、期待を抱いて本件病院に赴いた補助参加人の組合員に対し、正当な理由もなく団体交渉に応じることを拒否し、組合員の降格や配置転換の辞令を発したばかりでなく、露骨に組合員排除を意図したと受け取られても仕方のない再建計画を示し、これに反発した組合員に対し、その後も正当な理由のない就労拒否、懲戒解雇や配置転換等を繰り返したものということができ、これらの事情にかんがみると、原告の右一連の行為は、本件病院から補助参加人の組合員を排除することを意図し、その弱体化を図るために行われたものということができる。 そして、右の点に、原告が本件救済命令(大阪府地方労働委員会平成元年(不)第六四号事件)の審問期日において、補助参加人が反体制、過激な集団であって、個人の財産をねらうゆすりたかり集団であるなどと明言し、かつ、労働組合が本件病院に存在することを好まないなどと述べており(〈証拠略〉)、また、本件訴訟の本人尋問においても、右と同旨の認識を示し、かつ、このような認識は、昭和六三年八月末の前記集団職場離脱以降一貫して抱き続けている旨供述していることなどの言動から、原告が補助参加人を自己に敵対するものと捉え、これに対する強度の嫌悪感を募らせるとともに、補助参加人及びその組合員を本件病院から排除しようとの意思を有していたことは明らかというべきであって、これらの事情を考え併せれば、本件解雇は、補助参加人の執行委員長の地位にあった上林に対し、補助参加人を嫌悪し、その弱体化や排除を意図してなされた不当労働行為(労組法七条一号、三号)であるといわざるを得ない。 |