ID番号 | : | 06666 |
事件名 | : | 損害賠償等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 日本一生コンクリート事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 労働組合の組合員であるミキサー車運転手と生コン運送会社との契約関係につき、その実態からみて請負契約の一種である運送委託契約であって労働契約ではないとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法9条 労働組合法3条 労働組合法7条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 |
裁判年月日 | : | 1996年5月27日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成2年 (ワ) 9372 |
裁判結果 | : | 認容,一部棄却 |
出典 | : | 労働判例700号61頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 唐津博・法律時報69巻13号238~241頁1997年12月 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕 (一) 当事者間の契約が労働契約であるか否かは、契約の形式のみによらず、当事者間に支配従属関係が存在するか否か、具体的には、勤務について労務提供者に諾否の自由があるか否か、報酬が労務提供の対価として支払われているか否か、労務提供者に対して、労務提供について時間的場所的拘束及び具体的な指揮監督が行われているか否か、服務規律の適用の有無等を総合して判断するのが相当である。 (二) 前記一の事実からすれば、右契約内容の決定に当たっては、運転手らの意思が少なからず尊重されており、また、右契約締結後も運転手らの要望により契約内容が柔軟に変更されていたこと、生コン運送に使用するミキサー車は、各運転手が所有権留保付き割賦売買で購入したものであり、右割賦金完済後は、運転手らの所有となるものであったこと、運転手らに支払われる運賃は、原則として運送した生コンの立米数により算出されていたこと、右運賃の支払いに当たって、所得税等の源泉徴収はされていなかったこと、時間の経過と共に劣化するという生コンの性質上、原告会社からの受注内容に応じて、運転手らの集合時間は一応決められていたが、自己の出荷時間に遅れなければ何らペナルティーを課せられず、仮に右出荷時間に遅れたり、休業したとしても、配車順が後回しになるという以上にはペナルティーは課せられず、右ペナルティーも運転手ら同士が取り決めたものであること(そもそも配車順も、運転手ら同士が取り決めたものである。)、終業時間は、出荷状況に応じて各日まちまちであり、出荷が終了すれば、帰宅は自由であり、結局、運転手らは、生コン運送業務に携わる以外には、A会社から時間的な拘束は受けていなかったこと、配車待ちの休憩時間中の過ごし方は、運転手らに任されており、各運転手が、それぞれの場所、方法で、自由に休憩時間を過ごしていたこと、原告会社から生コン納入現場までの経路は、運転手らの判断に任されており、特に指示はされていなかったことが認められ、右事実を総合すれば、A会社と運転手らとの間には、支配従属関係は認められない。 |