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ID番号 06736
事件名 未払賃金請求事件
いわゆる事件名 達田タクシー事件
争点
事案概要  タクシー運転手の賃金につき、消費税によって増収となったタクシー運賃について、一定の割合により管理費を控除した残額は運転手に帰属するとした事例。
参照法条 労働基準法3章
消費税法37条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 賃金の計算方法
裁判年月日 1995年10月19日
裁判所名 金沢地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 345 
裁判結果 一部認容(控訴)
出典 タイムズ908号141頁/労働判例701号81頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-賃金の計算方法〕
 証拠(甲一一から一四まで)及び弁論の全趣旨によれば、原告らと被告との間では、前記認定のとおり、運賃が改定される度ごとに、管理費の額等を改定した労働協約が締結され、その際、「次回の運賃改定」の際の運賃改定による増収分については、原告ら主張の方法(第二の二1(七))で暫定的に管理費を増額し、その余の部分は原告らが賃金として取得することにより、実質的に右増収分を労使間で分配する旨の約定(本件暫定措置協定)がされていることが認められる。
 そして、本件運賃改定についても、事業者が簡易課税方式を採ることによって生じる本件差額分の限度では、通常の運賃改定における増収と同様の性格を有するものと解して妨げないから、従来の料金改定の際の本件暫定措置協定を適用し、値上げ分全部(消費税相当分)から被告が簡易課税方式によって納税すべき額(運収に一〇三分の一〇〇を乗じて課税売上高を算出し、その一〇〇〇円未満を切り捨てた額である課税標準に対する三パーセントの二〇パーセント又は四〇パーセント)を控除した額の運賃改定があったものと同視して、原告らの賃金を計算することが相当であり、かつ、右協定の趣旨に沿うものと解される。