全 情 報

ID番号 06749
事件名 地位保全等仮処分申立事件
いわゆる事件名 旭化成ホームズ事件
争点
事案概要  寮の廃止に伴い寮母の嘱託雇用契約の更新拒否がなされたことに対して、寮母が右取扱いを違法として地位保全の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法14条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1995年12月1日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成7年 (ヨ) 1998 
裁判結果 却下
出典 労経速報1590号26頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 1 債務者と債権者らとの関係は、債務者が昭和六三年三月一八日のA新聞に、「当社茨木市独身寮勤務」とする寮母募集の広告を出したところ(書証略)、債権者X1がこれに応じ、同人との間で嘱託雇用契約を締結したことに始まり、平成三年六月からは債権者X2との間でも前記認定の嘱託雇用契約を締結し、これらの契約の更新については、債権者X1との間では平成六年まで、債権者X2との間では平成五年までの期間については書面が作成され、それ以後については、契約書の作成はされていないものの、債務者は嘱託として従前と同じ一年間の雇用であることを明示し、債権者らは基本的に従前と同様の労働条件で勤務を続けていることからして、債権者らの嘱託雇用契約は、いずれも平成六年六月一六日から一年間の期間を定めた契約として更新されたものといえる。
 2 本件寮における債務者らの仕事の内容は、寮生への朝食の提供、風呂沸かしを毎日行うほか、共用部分の清掃、寮設備の簡易な修繕維持工事の手配及び立会い、郵便物の受取など寮運営に関する業務であるところ、債務者では従業員の居住施設について、寮母を配置し、朝食を提供する寮を廃止してワンルームマンションを賃借りする方針を定め、本件寮についてもその措置をとり、平成六年一一月末日をもって寮生はすべて退去している。
 また、本件寮の建物は、賃借物件であるところ、その賃貸借契約も終了している。
 なお、債務者における従業員寮の廃止は、本件寮以外の九寮に及ぶものであり、その方針とするところは最近の若い従業員の一般的傾向、債務者の業務内容などに鑑み是認しうるところである(債権者らは、債務者がB株式会社の子会社であるのに、寮の運営形態、従業員の処遇などについて、親会社や系列会社と異なる取扱いをすることを云々するが、子会社であっても、債務者は相当の規模を有する独立の法人であることは明らかであるから、その主張は採用できない)。
 これらの事実に照らすと、債権者らと債務者との嘱託雇用契約は、これまで更新が重ねられていたことを考慮しても、平成七年六月一五日の満了をもって終了したというべきである。