ID番号 | : | 06755 |
事件名 | : | 損害賠償本訴請求事件/損害賠償反訴請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 武谷病院事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 病院に勤務しつつ病院の助成で看護学校に通学し、准看護婦資格を取得した者と病院との間でなされた、「准看護婦資格取得後に二年間以上は同病院に勤務する」旨の約定に反して一年で中途退職した看護学生に対して、病院が学費、生活費等の返還を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 成立 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 特殊勤務手当 |
裁判年月日 | : | 1995年12月26日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成4年 (ワ) 2325 平成4年 (ワ) 5196 |
裁判結果 | : | 棄却 |
出典 | : | 労働判例689号26頁/労経速報1595号24頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-成立〕 被告は原告に採用されるに際し、原告に准看護婦資格取得後二年間以上A病院に勤務することを約したとはいうものの、この約定は、原告の被告に対する希望表明に対し被告がこれに了解を与えたもの、すなわち、原告と被告との間に法的拘束力を伴わない、いわゆる紳士協定にすぎないものと解すべきである。なぜならば、右約定に法的拘束力を認めることとなると、被告に意に反した就業を認めることとなり、このような解釈は現行法上では認められないからである。そうすると、原告は、被告の右約定違反を捉えて前述のとおりの多様な法的構成の下に本訴請求を根拠付けてはいるが、右約定は右の(ママ)述べた以上の法的拘束力を有しないのであるから、本訴請求はその余の点について判断するまでもなく理由がない。 〔賃金-賃金請求権の発生-特殊勤務手当〕 被告は、右タイムカードに打刻された時間を基準に実勤務時間を算出しているが、タイムカードは一般には従業員の勤怠管理の便宜のために利用されており、タイムカードの打刻は出・退勤時刻を表示はするものの、必ずしも実勤務時間を表示するものではなく、原告にあっても同様であることが認められる(〈人証略〉)。 したがって、右タイムカードに打刻された時間を基準に被告の実勤務時間を算出している本件約定外勤務手当請求は、その前提において誤っているといわなければならない。 |