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ID番号 06759
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 よみうりスポーツ事件
争点
事案概要  スイミングスクールの指導員が受講生の指導にあたっている際に事故により障害を負ったケースにつき、上司及び会社に損害賠償を命じた事例。
参照法条 民法709条
民法715条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1996年1月25日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (ワ) 8023 
平成5年 (ワ) 2195 
裁判結果 一部認容(確定)
出典 タイムズ916号183頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務・使用者の責任〕
 (二) 以上認定のとおり、原告は、本件事故当日、被告Yの指示により、一人で約一五名の受講生を本件プールの合計五コースを使用して、指導をしていたところ、背泳のスタートのプール内での指導(被告会社においては原則的に、水中での指導が義務づけられていたことは前記のとおりである。)については、その危険性に照らし、泳力の低い受講生を対象とする場合には一コースに一指導員を要すると解されるのに、本件においては泳力の低い受講生を二つのコースに同時に配置したのであり(右方法は、予定どおり、Aとともに指導に当たる場合には適切である。)、適切を欠いたといわざるを得ない。すなわち、被告Yとしては、予定に反して、原告一人に指導させることになったのであるから、例外的にプールの上で指導するよう指示するか、手足に触れて指導する必要のある、泳力の低い受講生を一コースだけに配置するよう指示すべきであった。
 さらに、前記のとおり、被告Yは原告が本件事故により負傷したにもかかわらず、プール内で指導を続けるよう指示したり、平成二年四月二一日及び二二日には、医師の許可した時間を越えて、原告にプールに入るよう指示したものであり、その結果、原告の傷害が悪化した面があるといわざるを得ない。
 よって、被告Yには、右のとおりの過失が認められるから、同被告は原告に対し、民法七〇九条に基づく責任を負う。