ID番号 | : | 06791 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京海上火災保険事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 定年退職者の再雇用制度につき、業務上の必要性があり、心身ともに健康である等の条件を充たしたときに、再雇用するとの定めにより、退職者の再雇用の申入れのみでは嘱託契約は成立しないとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働基準法89条1項3号 |
体系項目 | : | 退職 / 定年・再雇用 |
裁判年月日 | : | 1996年3月27日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 11086 平成5年 (ワ) 12297 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 時報1568号137頁/労働判例698号30頁/労経速報1598号20頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔退職-定年・再雇用〕 二 以上認定したところによると、本件再雇用制度は、この制度が実施される前に存した対象資格者を元管理職の従業員に限定していた旧再雇用制度を満六〇歳以降も被告会社で働きたいと考えている元総合職・一般職に新しいライフステージを提供する等の観点から対象資格者を元総合職・一般職といった一般従業員にまで拡大する趣旨で改訂したものである。 本件再雇用制度実施にあたっては、再雇用対象者の選任については被告会社にその決定権限があることをA労組も認めており、旧再雇用制度を本件再雇用制度に改訂する過程において、A労組は被告会社に対し、本人の希望を尊重して積極的に雇用拡大を図るべきであるとの意見表明がなされ、これに対し被告会社は、満六〇歳以降は意欲、健康等の面で個人差が相当あるので希望者全員を再雇用することは難しいと考える旨の意見表明をなし、結局A労組も被告会社提案を了承したというのであり、全損保東海支部も希望者全員を当初は満六五歳、その後は満六三歳まで再雇用すべきであるとの主張をしたのに対し、被告会社は、業務上の必要性、勤務実績、健康状態を総合勘案して被告会社が選任するという回答をし、同支部も団交の席上で被告会社案を無条件で受託し、被告会社も右回答に従った再雇用者の選任をしてきたというのである。 以上の本件再雇用制度改訂の経緯等に鑑みると、本件再雇用制度については、被告会社は、選任基準を満たした満六〇歳の定年退職従業員のうちから特別嘱託社員として採用するか否かの決定権限を有していると解すべきである。 原告らは、本件再雇用制度にあっては、満六〇歳の定年退職従業員が被告会社に対し再雇用の意思表示をすることにより、当該従業員と被告会社との間に、就労の始期を定年退職の日の翌日とする再雇用契約が成立する旨を主張するが、この原告らの主張は、本件再雇用制度上は認められない独自の見解を主張するものであって、到底採用することはできない。 |