ID番号 | : | 06798 |
事件名 | : | 割増賃金等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 城南タクシー事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 会社との間で賃金をタクシー料金の月間水揚げ高に対する一定の歩合を乗じた額とする契約を締結していたタクシー運転手らが、時間外労働、深夜労働に対する割増賃金が支払われていないとして、割増賃金及び、付加金を請求した事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法37条 労働基準法114条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 割増賃金 / 割増賃金の算定基礎・各種手当 雑則(民事) / 附加金 |
裁判年月日 | : | 1996年3月29日 |
裁判所名 | : | 徳島地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 79 平成6年 (ワ) 472 |
裁判結果 | : | 認容,一部棄却 |
出典 | : | 労働判例702号64頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-割増賃金-割増賃金の算定基礎・各種手当〕 実際に原告らが支給を受けてきた賃金は、前認定のとおり、ノルマ達成の場合平成四年の改訂以前はほぼ四五パーセント、右改訂以後はほぼ四七パーセントの割合であることなどの事情からみて、被告は、平成元年に賃金の計算方法を改訂するに際して、従前どおり水揚高に対する歩合率の支給とするため、最終的に本件歩合率になるように賃金規定の歩合給等の計算に用いる概算支給率、歩合率を定めたものというべきであって、右改訂によって、通常の労働時間の賃金にあたる部分と、時間外労働等の割増賃金にあたる部分とに判別しうるものになったともいえない。そうすると、被告が原告らに支払っている賃金は、その定める賃金規定によるも、結局、そのうちに時間外労働等に対する割増賃金が含まれているものということができず、被告は、平成元年に賃金規定が改訂されてからも、原告らの時間外労働等に対する割増賃金を支払ってこなかつたものというべきである。〔中略〕 以上からすると、原告らの支払を受けていない時間外労働等に対する割増賃金の額は少なくとも別紙認容額一覧表(一)及び(二)の未払割増賃金欄記載のとおりとなり、被告は、原告らそれぞれに対し、右各別紙未払割増賃金欄記載の各割増賃金及び右別紙(一)の未払割増賃金欄記載の各割増賃金に対する平成五年三月二四日から支払済みまで、同別紙(二)の同欄記載の各割増賃金に対する平成六年一一月二三日から支払済みまで、それぞれ民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。 〔雑則-附加金〕 そして、右各割増賃金の不払期間、原告らと被告との交渉の経過など、本件証拠上認められる諸般の事情を考慮すると、労働基準法一一四条に従って、被告が、原告らに対し、それぞれ右各未払割増賃金と同額の付加金を支払うよう命ずるのが相当である。なお、被告が付加金を支払う義務は、判決の確定によって生じるものというべきであるから、これに対する遅延損害金は認められない。 |