ID番号 | : | 06799 |
事件名 | : | 慰謝料請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 東京(小学校長)セクシュアルハラスメント事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 小学校長が女性教諭に対しモーテルに誘うなどのセクシュアルハラスメントを行ったとして、損害賠償の支払を命じた事例。 |
参照法条 | : | 民法709条 民法710条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント |
裁判年月日 | : | 1996年4月15日 |
裁判所名 | : | 東京地八王子支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 2423 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部棄却(控訴) |
出典 | : | 時報1577号100頁/タイムズ924号237頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 若井彌一・学校経営42巻3号76~83頁1997年3月 |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕 平成三年一月二二日、都区内中学校の見学が終了した後、見学に参加した教師らが懇親会に参加するため、新宿に向かう途中、被告は原告に話しかけ、見学した授業の内容などの話をした。懇親会では、原告と被告は離れた位置に座っており、会話はしなかった。懇親会は午後八時頃終了し、原告と被告は一緒に帰途についた。 原告は、中央線西八王子駅前にオートバイを停めていたため、新宿駅から中央線に乗った方が便利だったが、被告が一緒に京王線に乗ろうと誘ったため、被告と共に、京王線に乗車した。車内で、原告は、被告と話したりしているうちに、降りるべき高尾駅を乗り過ごしてしまったため、高尾山口駅で降りて、京王線で高尾駅に戻り、同駅で中央線に乗り換え、午後九時三〇分頃、西八王子駅で二人は降りた。 電車内で、被告は、原告が音楽担当を引き受けたことに対して感謝したり、原告が不登校の児童の訪問指導を始めたことなどについて話したりした。京王線で高尾駅を乗り越したとき、被告は、原告が音楽担当を引き受けたことに感謝して車内で土下座をした。 西八王子駅を降りた後、被告の誘いにより、近くの居酒屋に入り、閉店時間の午後一一時頃まで飲食した。被告は、銚子二、三本位飲酒し、原告は飲酒しなかった。食べ物は、鳥の串焼き、じゃがいもなどが出てきた。被告は、店内で、不登校の児童や、学校の教師の話題、原告がいつも鞄の中に箸を入れていることなどを話して、原告を終始ほめていた。 原告は、右居酒屋を出て、駅前に停めていたオートバイに乗るために踏切付近に行こうとして、被告に挨拶をすると、被告は、「送っていくよ。」と言って原告に付いて来た。原告がオートバイのエンジンをかけようとすると、被告は、原告の正面に来てズボンのチャックを下ろして性器を露出し、原告の手を握って被告の性器を握らせた。原告は「止めて下さい。」と言った。そのとき、原告は無我夢中でチャックを上げたと思う(原告が被告のチャックを上げたか否かについては明確な記憶はない。)。被告は、再びチャックを下ろして同様の行為をした。原告は、「止めて下さい。早く帰って。」などと何度も言ったところ、被告は、「今日はXさんとの記念すべきいい日だったな、僕が校長でさえなかったならな。」などと言って、八王子駅方面に向かった。〔中略〕 前記一1に認定した被告が原告に対して行った卑猥な行為の態様、原告と被告の社会的地位、年齢、職場における関係その他一切の事情を考慮すれば、被告の右不法行為によって原告の被った精神的苦痛を慰謝するには金五〇万円をもって相当とする。 |