ID番号 | : | 06807 |
事件名 | : | 労働契約関係確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 九州女子学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 私立の女子高校教員がビラの掲示・配布、リボン着用、ストライキの実施等違法な組合活動をしたことを理由として懲戒解雇されたとして、その効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項9号 労働組合法7条1号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動 |
裁判年月日 | : | 1996年5月9日 |
裁判所名 | : | 福岡地小倉支 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成5年 (ワ) 1325 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | タイムズ923号127頁/労働判例714号77頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | 倉田原志・民商法雑誌118巻1号150~159頁1998年4月 |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕 本件組合と被告との団体交渉をめぐる労使の対立は、県私教連のA委員長と被告代理人の春山弁護士らが仲に入って、平成四年一二月五日、両者間において、労使紛争を解決し、正常な労使関係を構築するため団交ルールを定めた確認書が取り交わされ、これを契機に一旦は収束して、その後これに従って団体交渉も開かれるに至っており、本件組合が採用した戦術も、行過ぎがあったにせよ、それなりに必要がなかったわけではない。 それに、本件組合の採用した戦術により被告学園の業務が多少阻害され、また生徒にも何らかの影響を及ぼしたことが推察されないではないが、被告学園の授業等の業務に著しい支障を及ぼしたとか、あるいは生徒に対して悪影響を与えたとかの事情は証拠上本件を通じて窺知することもできない。 (三) そして、右のような本件全体を通じてみられる使用者側の態度等に加え、原告らは、共に一五年以上にわたり被告に真面目に勤務し、本件懲戒解雇処分以前には何ら処分歴がないこと(証人B、原告ら各本人)、本件で主導的役割を果たしたと推察される本件組合の委員長のCが懲戒解雇処分を受けながら、その後円満退職の扱いとされていること等にも照らせば、前記のとおり原告らの頑なで拙い対応にも問題があることは否めないとしても、原告らに対して直ちに重大な不利益を負わせる懲戒解雇をもって臨むのはいささか酷であり、被告による原告らに対する本件懲戒解雇処分は合理的な相当な理由を未だ欠くものである。ほかに、本件懲戒解雇処分を相当と判断するに足りる確実な証拠はない。 4 そうすると、原告らに対する本件懲戒解雇処分は、解雇権の濫用として無効というべきであるから、原告らと被告間には有効な労働契約が継続しているものである。 |