全 情 報

ID番号 06866
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 連合滋賀セクシュアルハラスメント事件
争点
事案概要  民間労働組合地方組織事務局の女性職員が事務局幹部から差別的な取扱いとセクハラを受けたとして右幹部及び労働組合地方組織を相手として損害賠償を請求した事例。
参照法条 民法709条
民法715条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 均等待遇 / セクシャル・ハラスメント、アカデミック・ハラスメント
裁判年月日 1996年10月14日
裁判所名 大津地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 620 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 時報1623号118頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労基法の基本原則-均等待遇-セクシャル・ハラスメント〕
 原告がセクシャルハラスメントに当たると主張する事実についても、一般的に使用者において、被用者が労務に服する過程において生命及び健康を害しないように配慮すべき注意義務を負うとともに、職場内における性的性質をもった言動が、被用者の職務遂行を妨害する目的や効果をもって行われ、脅迫的あるいは不快な労働環境が創られている場合には、これを解消するよう配慮すべき義務を負担とすることがあるとしても、前記認定のような、女性職員がお茶汲みや清掃を事実上分担してきたこと、一部役員が女性職員や職場外の女性に対して女性を侮蔑するような発言をすることがあったこと等の事実をもって、原告らの職務の執行を妨害する目的・効果をもっていたとは認められず、被告連合滋賀においてその解消を図るべき義務違反があったと認めることはできない。〔中略〕
 被告連合滋賀の被用者である同Yが、原告に対して、暴行を加えたことについて三〇万円の損害賠償義務が認められることは前記2のとおりである。
 しかし、使用者が、被用者による不法行為について、民法七一五条に基づく損害賠償義務を負担するのは、右不法行為が被告の営む事業及びそれに密接に関連してなされたものであることを要するところ、前記四認定のとおり、被告Yによる暴行は、事務局の業務終了後、会長を囲んでの懇親会が開かれ、二軒の店で飲食した後、さらにスナックへ移動する途中に起こったものであり、原告と同被告との会話がきっかけとなって発生したというその経緯や時間帯からすれば、被告Yの暴行は被告連合滋賀の事業に密接に関連するものと認めることはできないから、同被告が使用者責任を負うものではない。