全 情 報

ID番号 06874
事件名 地位確認等請求事件
いわゆる事件名 ハイブリッドインターナショナル事件
争点
事案概要  労働者が、ほぼ毎日勤務時間中に居眠りをしたこと、勤務時間中に耳栓をしたこと、毎日二時間あまり離席したこと、上司の指示に従わなかったこと等を理由に解雇され、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
裁判年月日 1996年11月1日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成7年 (ワ) 8806 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1621号11頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
 1 就業規則所定の懲戒解雇事由に該当する事実が存在する場合において、本人の将来を考慮して普通解雇に処することは、それがたとえ懲戒の目的を有するとしても許されないわけではなく、また、そのような場合に、右解雇が有効であるというためには、普通解雇の要件を備えていれば足り、懲戒解雇の要件まで要求されるものではないと解すべきである。したがって、本件においては、本件解雇が普通解雇として解雇権濫用に当たるかどうかを判断すれば足りるところ、前記のとおり、原告の職場規律違反行為はそれ自体形式的には懲戒解雇事由に該当するものであること、特に、原告の勤務態度について、注文主であるA会社等から苦情が寄せられ、本件解雇直前には原告の出入りを禁止する旨の通告を受けるに至っていたこと、原告は、目を閉じる行為については故意に行っていたものであり、原告自身、その陳述書(書証略)において、「目を閉じて暇そうにしているのがよいとは思いません」と述べるなど、右行為が好ましくないものであることを認識していたと認められるうえ、原告は本件解雇を通告されるまでの間、福井から注意を受けていながら、全く反省の態度を示していなかったなど、原告側に宥恕すべき事情が見あたらないこと、原告は、解雇当時三〇歳であって、再就職が極めて困難であるという事情も見あたらないこと、本件解雇は、原告の将来を慮り、普通解雇として行われたものであること等を総合すれば、原告が本件解雇事由とされている勤務態度を取るに至った要因の一つにBとの確執があり、Bのこれに対する対応も必ずしも適切であったとは言い難いことを考えあわせたとしても、なお本件解雇が著しく不合理で、社会的相当性を逸脱するものであるとは認められないから、本件解雇は、解雇権の濫用に当たるものではないというべきである。