全 情 報

ID番号 06905
事件名 地位確認請求事件
いわゆる事件名 東日本旅客鉄道株式会社事件
争点
事案概要  日本国有鉄道改革法による旧国鉄の解体、分割を前提として旧国鉄が行った人事異動につき、不当労働行為ないし人事権の濫用に当たる違法があるとして旧国鉄職員を採用した承継法人に対して地位確認の請求が求められた事例。
参照法条 労働基準法2章
日本国有鉄道改革法23条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約の承継 / 新会社設立
裁判年月日 1997年1月31日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ネ) 1074 
平成4年 (ネ) 1131 
裁判結果 一部棄却,一部取消(上告)
出典 高裁民集50巻1号1頁
審級関係 一審/05903/水戸地/平 4. 3.17/昭和63年(ワ)116号
評釈論文 萬井隆令・労働法律旬報1474号18~31頁2000年2月25日
判決理由 〔労働契約-労働契約の承継-新会社設立〕
 改革法二三条は、国鉄に対し、新会社の職員の募集の際の意思確認、新会社の職員となるべき者の選定、名簿の作成等の一定の行為を担当させるものとしているが、これは、新会社に採用されるべき職員が国鉄職員に限定され、かつ、極めて短期間のうちに大量の職員が採用されることになるという国鉄の分割・民営化における特殊な事情の下で、新会社の職員の採用に関する権限を設立委員と国鉄の両者に配分し、意思確認、選定、名簿の作成等の一定の事項を国鉄の権限とすることによって、採用手続の合理化を図ったものと解される。〔中略〕
 したがって、改革法二三条における新会社の職員の採用手続における国鉄の地位は、設立委員からの委任によるものないし設立委員の代行として設立委員の権限に由来するものではなく、法の右の規定によって認められた固有の地位であるというべきであるから、これと異なる第一審原告らの主張は失当というべきである。〔中略〕
 第一審原告らは、設立委員がした行為は当該承継法人の行為とする旨定めた改革法二三条五項の規定の趣旨は、職員の採用と密接に関連している職員の配属発令についても及ぼされるべきである旨主張するが、前記二3(一)のとおり、設立委員は、労働契約上の一方当事者としての使用者の地位にある者であることが前提となる配属発令の権限を有するものではないと解されるから、右主張も採用することができない。