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ID番号 06917
事件名 遺族年金等不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 大河原労働基準監督署長(JR東日本白石電力区)事件
争点
事案概要  駅助役らの参加する管理者の会合及び懇親会への参加が業務に当たるとし、その帰途における事故を通勤災害とした事例。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項2号
体系項目 労災補償・労災保険 / 通勤災害
裁判年月日 1997年2月25日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 平成7年 (行ウ) 3 
裁判結果 認容(確定)
出典 労働判例714号35頁
審級関係
評釈論文 井上泰人・平成9年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊978〕298~299頁1998年9月/山澤隆明・季刊労働法190・191号123~126頁1999年10月/小西國友・ジュリスト1128号129~132頁1998年2月15日/大山盛義・労働法律旬報1428号27~35頁1998年3月25日
判決理由 〔労災補償・労災保険-通勤災害〕
 労災保険法七条一項二号の「通勤災害」に該当するためには、「就業に関し」、すなわち、業務と関連性のある往復行為について、住居と「就業の場所」、すなわち、業務を開始し、又は終了した場所との間を往復する間に、災害に遭遇したことを要するところ、労災保険法の目的からすれば、右業務とは、賃金の対象となる業務よりも広く、労働者が労働契約に基づく使用者の明示、黙示の実質的支配下にあることをいうと解される。
 2 本件管理者会の活動の「業務」性
 (一) 前記第二の一3及び5、並びに右一1認定の各事実、特に、経営推進会が設立された経緯、仙台地区内に在籍する現場長及び助役の全員が経営推進会の会員となっていたこと、経営推進会の役員会において、経営推進会の活動が業務の一環であること及び今後の活動については東北本社から指示することがそれぞれ確認されたこと、経営推進会の活動が東北本社の経営等の業務に関するものに限られていたこと、経営推進会の役員会や自主研修会等が、勤務時間中に東北本社の会議室等において何度も行われ、それらに東北本社の幹部職員らが講師等として何度も出席していたこと、並びに経営推進会の自主研修会等には、仕事の都合で出席できない場合を除き、ほぼ全会員が出席しており、特段の理由もなく欠席すれば、管理者としての自覚が問われ、人事考課上影響することもあったこと等によれば、経営推進会は東北本社の実質的下部組織であったことが認められる。
 また、前記第二の一4及び右一2認定の各事実、特に、本件管理者会が組織された経緯、本件管理者会の活動が東北本社の業務に関するものに限定されていたこと、本件管理者会への出欠については、勤務及び会議等で出席できない場合には報告することとされており、亡Aの上司であったB区長も、亡Aに対して、本件管理者会には必ず出席するように指導していたこと、駅長が助役に対する勤務評定をするにあたって、本件管理者会における活動も評価の対象とされていたこと、本件管理者会の会合や打合せ等が勤務時間中に行われることもあったこと、本件管理者会の会合や打合せ等が勤務時間中に開かれた場合には、東北本社は、業務に支障がない限り、本来の業務についての勤務を事実上免除していたこと、本件管理者会の会合が通常C駅の講習室等で開催されていたこと、及び本件管理者会の活動費用については、必要に応じて、指導センター所長の決済(ママ)によって支出することとされていたこと等によれば、本件管理者会は経営推進会の実質的下部組織であったことが認められる。
 したがって、本件管理者会は東北本社の実質的支配下にあったと評価することができるから、本件管理者会の活動は東北本社の業務であったと解すべきである。