全 情 報

ID番号 06933
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 学研ジー・アイ・シー事件
争点
事案概要  大学入学指導に関する業務を行う会社との間で一年の嘱託契約社員契約を締結していた社員が、契約期間の途中で、初歩的なミスが多い、同僚が愛人関係にあるなどの噂を吹聴するなどして職場の規律を乱したとして解雇され、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 職務能力・技量
解雇(民事) / 解雇手続 / 弁明の機会
裁判年月日 1997年3月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成7年 (ワ) 11337 
裁判結果 一部認容,一部棄却(控訴)
出典 労働判例716号72頁/労経速報1638号19頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-職務能力・技量〕
 原告は平成六年九月に初めて被告に採用されて奈良営業所に配属となったこと、その当時、奈良営業所でセクレタリーの業務に当たっていたのはA一人であり、そのAとの関係が悪化する抜きがたい要因として、原告が被告のセクレタリーとしての業務になかなか習熟しなかったことが挙げられること、原告は採用されて半年ばかりであるに過ぎないから、被告との嘱託社員契約が平成七年三月一一日に更新されたとしてもそのことが原告の勤務成績が優良であることの証左となるものではないこと、原告はその後もAの指導を受けることなく、大阪事業本部に勤務するセクレタリーであるBに、再三初歩的な職務上の問題点について電話で問い合わせを繰り返していることに照らすと、右各証拠はいずれも信用することはできず、むしろ、前記認定のとおり、原告は、その勤務成績上相当の問題を有していたものと認めざるを得ないのである。〔中略〕
 6 以上の次第であるから、原告の前記所為に対し、被告が嘱託社員就業規則一五条二項(与えられた仕事に適さない等、社員として不適当と認められたとき)を適用してなした本件解雇は、社会通念上相当なものとしてこれを是認することができ、これをもって、解雇権の濫用であるというべき余地はない。したがって、原告は、平成七年九月一五日をもって被告との間の労働契約上の地位を喪失したものというべきである。
〔解雇-解雇手続-弁明の機会〕
 (嘱託社員就業規則)上、被告において、嘱託社員を解雇するに際して、解雇する旨を事前に告知し、これに対し、意見を聴取すべき旨の規定はないので、本件において、右手続を経ていないとしても、これを違法というべき理由はない。