ID番号 | : | 06951 |
事件名 | : | 損害賠償請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 青空交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 六〇歳定年制を定めた就業規則を知らなかったとの労働者の主張につき、当該労働者は右就業規則を確認したと判断し、六〇歳をもって定年退職したと認めた事例。 会社が労働者の給与から貸付金を控除したことは、賃金の全額払の原則に反するとした事例。 会社が労働者の賞与から賞与の前貸分を控除したことにつき、調整的相殺として、賃金の全額払の原則に反しないとした事例。 組合費の控除につき、チェック・オフ協定に基づいてなされたもので、違法ではないとした事例。 タクシー乗務員になるために受けた講習は雇用前のことであり、これに日当を支払う必要はないとした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法24条1項 労働基準法32条 労働基準法89条1項3号 労働基準法106条 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 全額払・相殺 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / チェックオフ 労働時間(民事) / 労働時間の概念 / 研修・教育訓練 就業規則(民事) / 就業規則の周知 退職 / 定年・再雇用 |
裁判年月日 | : | 1997年5月30日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成6年 (ワ) 10758 |
裁判結果 | : | 認容,一部棄却 |
出典 | : | 労経速報1641号17頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔就業規則-就業規則の周知〕 〔退職-定年・再雇用〕 二 請求原因2及び抗弁(解雇ないし退職)について (書証略)の原告の氏名が原告の自署によるものであることは、当事者間に争いがないので、真正に成立したものと推定すべき(書証略)(就業規則)及び被告代表者本人によれば、原告は、入社時に賃金等説明を受け、満六〇歳定年制を定める就業規則について確認したことが認められるところ、弁論の全趣旨によれば、原告は、平成五年九月三日に右就業規則三七条に定める定年の満六〇歳に達したものと認められるので、原告は、同日をもって被告を定年退職したものと認められる。 よって、原告が、被告に対し、被告との原告が雇用契約上の地位を有することの確認及び原告を被保険者とする雇用契約継続に伴う社会保険加入手続をすることを求める請求は、いずれも理由がない。 〔賃金-賃金の支払い原則-全額払〕 四 同4について 被告が、平成三年一一月二八日、原告の給与から貸付金として一万九七六〇円を差し引いたことは当事者間に争いがなく、かかる貸付金の控除は、賃金全額払の原則に反し、許されないというべきである。 よって、原告が、被告に対し、雇用契約に基づき右未払賃金一万九七六〇円の支払を求める請求は理由がある。 〔賃金-賃金の支払い原則-過払賃金の調整〕 前記三認定事実及び被告代表者によれば、被告は、平成三年一二月一〇日、原告の給与でなく、賞与から一一万五〇〇〇円を差し引いたが、これは、原告の希望により同年一一月二八日に賞与見込額の一部一一万五〇〇〇円を前貸ししていたことから、精算したものであって、調整的相殺として、賃金全額払の原則による相差禁止の例外として許容されるものと認められる。 よって、原告が、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、一一万五〇〇〇円の支払いを求める請求は理由がない。 〔賃金-賃金の支払い原則-チェックオフ〕 被告が、原告の平成四年一月ないし三月分の給与について、月額一八〇〇円、合計五四〇〇円を給与から差し引いたことは、当事者間に争いがない。 右当事者間に争いのない事実、(書証略)被告代表者及び弁論の全趣旨によれば、原告が、平成四年一月より従業員の過半数を代表し事実上の労働組合である親睦会に加入したので、被告は、書面化されたチェック・オフ協定に従い、労働基準法二四条一項但書に基づき、原告の平成四年一ないし三月分の給与について、親睦会費月額一八〇〇円、合計五四〇〇円を右給与から差し引き、親睦会に納入したことを認めることができる。 〔労働時間-労働時間の概念-研修・教育訓練〕 原告が、大阪タクシー近代化センターでタクシー乗務員になるための講習を受けたことは、当事者間に争いがない。(書証略)(修業書)によれば、原告は、平成三年一〇月二二日、大阪タクシー近代化センターで二日間の研修過程を修業したこと、(書証略)によれば、被告は、原告を平成三年一〇月二四日から雇用したことが認められることから、被告において、右講習について日当を払うべき理由はないものと認められる。 よって、原告が、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、日当相当損害金四万二八一四円の支払いを求める請求は、理由がない。 |