ID番号 | : | 06954 |
事件名 | : | 解雇撤回等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 古川製作所事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 中途入社者に対する勤務態度・勤務状況の悪化、協調性の欠如を理由とする解雇を有効とした事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 民法1条3項 |
体系項目 | : | 労働契約(民事) / 成立 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 解雇(民事) / 解雇事由 / 協調性の欠如 解雇(民事) / 解雇権の濫用 |
裁判年月日 | : | 1997年6月9日 |
裁判所名 | : | 東京地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成7年 (ワ) 13348 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例720号61頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-成立〕 二 正社員か嘱託社員かについて 右一認定事実によれば、当初の一年間の嘱託期間は、原告の能力や勤務ぶり等を見定め、正社員にするかどうかを判断するための試用期間的意味合いであったということができ、被告は右嘱託期間経過後原告を正社員として雇用することに決め、平成六年二月ころには、嘱託期間経過後は正社員になる約束ではないかとの原告の質問に対し、正社員として雇用する旨答えているのであるから、原告・被告は、嘱託期間が満了した同年二月一日から原告が正社員になることについて合意したものと認められる。 被告は、原告が正社員用の労働契約書に署名捺印することを拒否し、労働契約を締結しなかったので、嘱託として雇用する旨の労働契約が更新されたままである旨主張するが、正社員としての雇用に労働契約書の提出が必要ならば、右合意成立後すみやかに労働契約書を原告に渡すべきであるにもかかわらず、被告が原告に対し正社員用の労働契約書を手交したのは嘱託期間が満了してから四ケ月余りも経過した後であるし、右のとおり既に合意が成立しているところ、その後原告が労働契約書を提出しなかったのは、役職につけてもらえないことが不満であったためで、正社員になることそのものを拒否したわけではないから、労働契約書を提出しない限り正社員ではないというのは被告の一方的な取扱いにすぎないというべきであり、被告の右主張は採用できない。 但し、正社員に住宅手当が支給されていると認めるに足りる証拠はないから、平成六年二月一日以降の住宅手当の支払を求める原告の請求は理由がない。 〔解雇-解雇権の濫用〕 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 〔解雇-解雇事由-協調性の欠如〕 三 解雇の有効性について 前記一認定事実によれば、原告は平成六年六月に、A部長から役職はなく平社員であると告げられて強く反発し、部長あるいは営業部主幹との約束であったからこれらの役職につけるようにと執拗に要求し、自分はいわゆる売り子として雇用されたわけではないから他の営業課員とは異なるし、他方、役職につけず平社員にしかしないというならそれだけの仕事しかできないなどと主張して、期待されている職責を積極的に果たそうとせず、勤務状況が劣るようになり、また、自己の主張に固執して独断的な行動が多く協調性に欠けていて、同年九月及び平成七年五月二二日の話し合いにおいても、B部長に対して、従前の主張を繰り返し、あくまで部長職を要求し、勤務態度を改めようとの姿勢がまったく見られなかったのであるから、本件解雇は客観的に相当な理由があり、権利の濫用にあたらず、有効であるというべきである。 |