ID番号 | : | 06965 |
事件名 | : | 地位確認等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 学校法人聖パウロ学園事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 学校法人の専任講師として雇用されていた者が、一年間の臨時雇用契約終了通知を送付されたことに対し、右契約は一年の試用期間がついた雇用契約であったとして、雇用契約上の地位確認を求めた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法19条 労働基準法2章 労働基準法11条 民事訴訟法(平成8年改正前)155条 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め) 労働契約(民事) / 試用期間 / 法的性質 賃金(民事) / 賃金・退職年金と争訟 |
裁判年月日 | : | 1997年7月14日 |
裁判所名 | : | 大津地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成7年 (ワ) 416 |
裁判結果 | : | 認容(控訴) |
出典 | : | タイムズ957号209頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労働契約-試用期間-法的性質〕 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕 以上の認定事実を総合考慮すれば、被告は、原告らの専任講師としての採用に当たっては、臨時の契約により雇用した非常勤講師等と区別して、一年間の試用期間をおいてその適格性を判断した上、教諭として採用することを予定していたものと考えざるを得ない。したがって、原告らが、被告との雇用契約について、一年間の期限の定めのあるものであると了解していなかったことは勿論、被告においても、期限付の雇用を前提としていたと認めるのは困難である。 (二) この点、被告は、〔1〕原告X1について、被告が原告X1に送付した採用通知書には、平成四年四月一日より平成五年三月三一日までとの期間の記載があること、〔2〕原告らが、平成五年四月一日付け辞令書(乙一の2、乙二の1、乙三の1)及び同六年四月一日付け辞令書(乙一の3、乙二の2、乙三の2)を受け取る際に、期限の記載があるにもかかわらず何ら異議を述べなかったこと、〔3〕公立学校において、講師は臨時的任用教育職員であること、〔4〕原告らが、教員免許取得の際に、教育実習を受けた経験があったことなどを指摘する。 しかしながら、〔5〕原告X1に対する採用内定通知に同封された前記添付文書(甲四の1の1枚目)及び当時の就業規則とを併せ考えれば、同原告に対する採用通知に記載された期間は試用期間の意味であるとも理解できること、〔6〕平成五年度及び平成六年度の原告らの辞令書に記載された期間についても、右辞令の交付までの経緯や、就業規則及び雇用期間についての被告の説明や就業規則における試用期間の規定などに照らせば、右期間について原告らが試用期間であると受け止めたり、教諭採用が延期されたものと考えたりして、敢えて異議を述べなかったとしても不合理とはいえないこと、〔7〕公立学校の講師が臨時的な雇用契約に基づくものであることや原告らに教育実習の経験があることから、直ちに原告らが本件の専任講師としての雇用契約が一年間限りのものであると認識していたはずだと推論することはできないことに照らせば、被告の前記〔1〕ないし〔4〕の指摘は、(一)の認定を左右するものではないというべきである。 〔賃金-賃金・退職年金と争訟〕 1 毎月の平均賃金額は、原告X1が二二万五三二〇円(うち本俸は二〇万〇五〇〇円)、原告X2が二八万四四四〇円(うち本俸は二一万三五〇〇円)及び原告X3が二四万七五六〇円(うち本俸は一九万四〇〇〇円)であったことは当事者間に争いがない。ところで、原告らの賃金請求は本件勝訴判決確定後における将来の給付請求を含むが、証人Aの証言並びに弁論の全趣旨によれば、Bの別件勝訴判決が確定した後も紛争が収束していないことが認められ、右の事情にかんがみると、原告らにおいてあらかじめ右将来の給付を求める必要があると認められる。 2 右によれば、被告は、原告X1に対し二二万五三二〇円、原告X2に対し二八万四四四〇円、原告X3に対し二四万七五六〇円をそれぞれ平成七年四月一日から毎月二五日限り支払う義務がある。 |