ID番号 | : | 06968 |
事件名 | : | 賃金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 羽柴事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | コンピューターソフトウエア開発を業とする会社と汎用コンピューター用ソフト開発の労務に従事した技術者との間の契約につき、準委任契約ではなく雇用契約であるとした事例。 解雇予告手当の支払につき、土曜・日曜をはさんで連続する別個の期間の定めのある雇用契約は実質的には更新されているので、その支払を要するとした事例。 附加金の支払を命じた事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法9条 労働基準法2章 労働基準法20条 労働基準法21条 労働基準法114条 |
体系項目 | : | 労基法の基本原則(民事) / 労働者 / 委任・請負と労働契約 解雇(民事) / 解雇予告と短期契約 雑則(民事) / 附加金 |
裁判年月日 | : | 1997年7月25日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成8年 (ワ) 2117 |
裁判結果 | : | 認容,一部棄却(確定) |
出典 | : | 労働判例720号18頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労基法の基本原則-労働者-委任・請負と労働契約〕 三 本件契約の性質について 1 右二認定事実によれば、原告の労務提供の実態は、被告が原告と共に派遣した被告の従業員と全く差異がないこと、原告の従事した労務は他の多数のコンピュータ技術者と協業して行う大型汎用コンピュータ用のソフト開発であって、原告の労務は発注元から一括でソフト開発を受注した大手ソフト開発業者の指揮監督の下に一労働者として提供されたものであること、右元請の大手ソフト開発業者は、原告を被告の技術者ないし派遣労働者と考えていたこと、被告の内部文書にも「派遣」と記載されていること、原告に対する給与は、月給制、時給制をとっていたことが認められ、これに、(証拠略)、原告本人尋問の結果を総合すると、本件契約は雇用契約であったものと認めることができる。 なお、本件契約は、A会社での労務提供と、B会社での労務提供について、別個の時期に別個に期間を定めて締結され、目的が明確に区別できる上に、賃金も月給制と時給制と異なるものであるから、期間の定めのない雇用契約ではなく、各個の期間の定めのある雇用契約であったものと認めることができる。 〔解雇-解雇予告と短期契約〕 五 解雇予告手当について 前記二、三認定事実、原告本人尋問の結果、弁論の全趣旨によれば、被告が原告を平成七年五月八日予告なしに解雇したことが認められる。 前記二、三認定事実、(証拠略)、弁論の全趣旨によれば、原告と被告との間の期間の定めのある雇用契約は、実質的には更新されているので(平成七年四月一日及び二日は、土曜日曜であった。)、解雇予告手当の計算においては一体とみなすことができ、原告の解雇直前の賃金締め切り日は平成七年四月三〇日であって、原告の平均賃金は、右賃金締め切り日直前三か月間の賃金合計一一七万八〇〇〇円(平成七年二、三月分各四五万円、同年四月分二七万八〇〇〇円(一三九時間分)。)をその期間の総日数八九日で除した金額である一万三二三五円九五銭であることが認められる。 したがって、平均賃金の三〇日分である解雇予告手当は、三九万七〇七九円である。 〔雑則-附加金〕 被告は、右解雇予告手当を支払わないので、被告に対し、右三九万七〇七九円の解雇予告手当及び労働基準法一一四条に基づき同額の付加金の支払いを命じるのが相当である。 |