ID番号 | : | 06979 |
事件名 | : | 地位保全金員支払仮処分申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 丸新港運事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 港湾運送事業、船内荷役事業等を営む会社から剰員が生じたことを背景に、勤務態度不良、協調性に乏しい等を理由として解雇された労働者がその効力を争った事例。 |
参照法条 | : | 労働基準法89条1項3号 民事保全法23条 労働基準法3章 |
体系項目 | : | 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度 賃金(民事) / 賃金・退職年金と争訟 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件 |
裁判年月日 | : | 1997年9月22日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成9年 (ヨ) 1790 |
裁判結果 | : | 一部認容,一部却下 |
出典 | : | 労経速報1650号22頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕 〔解雇-整理解雇-整理解雇の要件〕 同債権者に対する債務者の主張する解雇理由は、前記のとおり抽象的で、疎明(書証略)による何ら具体性が補充されていない。したがって、不当労働行為の点について判断するまでもなく、解雇に合理性があることを一応認めるに足りない。 〔賃金-賃金・退職年金と争訟〕 疎明及び審尋の全趣旨によると、債権者らは、いずれも債務者から得る賃金を唯一の生活の糧とし、また債務者との労働契約上の地位に基づいて大阪港湾健康保険組合の保険証を利用して自らと家族の健康を保持している労働者であり、本案判決に至るまでの間その地位を保全すると共に、賃金の仮払を得る必要性があること、解雇前三ケ月間の平均支給額は債権者ら主張のとおりであること、は一応認められる。 しかし、債権者らの月平均要額(支出額)は、債権者Aは約二三万円(書証略)、同Bは約二九万二六〇〇円(書証略)、同Cは二二万六〇〇〇円(書証略)であること、債権者Aの二三万円については、うち八万円が結婚準備金とされており、いわば貯金であるように窺われること、解雇前三ケ月間の平均支給額の中には通勤手当も含まれていることも一応認められ、これらに照らすと、債権者Aについては月一九万円(結婚準備金は四万円の限度で保全の必要性を認める)、同Bは月二八万二二〇〇円(解雇前三ケ月間の平均賃金二九万七三〇〇円から平成九年七月分における通勤費一万五一〇〇円を差し引いた金額)、同Cは月二二万六〇〇〇円の限度で保全の必要性があると一応認めることができる。 また、仮払の期間について検討するに、債権者らは、いずれも入社から二年足らずとその社員としての地位がそれほど確固としたものとはいえないこと、ある程度の期間があれば、債権者らが他から収入を得られるようになるなどの事情変更の可能性があることなどを考えると、仮払の必要性は、平成九年七月から半年間の限度(平成九年一二月分まで)で認めることができる。 |