ID番号 | : | 07005 |
事件名 | : | 賞与金請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 松原交通事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | タクシー事業を営む被告に雇用されタクシー運転手として勤務する労働者が、被告と賞与支給期ごとに賞与支給に関する合意をしなくても、労働契約又は労働慣行により賞与支給基準に従って賞与の支給を受ける具体的な請求権があるとして未払い分の賞与の支払を求めた事例(請求棄却)。 |
参照法条 | : | 労働基準法11条 労働基準法2章 |
体系項目 | : | 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権 就業規則(民事) / 就業規則と慣行 |
裁判年月日 | : | 1997年5月19日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成7年 (ワ) 11908 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例725号72頁/労経速報1637号24頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕 〔就業規則-就業規則と慣行〕 賞与について、労働協約、就業規則、労働契約の各定めあるいは労働慣行などにより、支給時期及び額ないし計算方法が決まるなど、右の各支給条件が明確な場合には、労働者は使用者に対し、具体的な賞与請求権を有するというべきであるが、右定め等がなく、支給条件が明確でない場合には、労働者は右の具体的な賞与請求権を有しないと解するのが相当である。 また、労働慣行は、同種行為又は事実が長期間反復継続され、当事者に継続的な行為の準則として意識されたことによって、当事者の明示又は黙示の意思を媒介とし、法律行為の内容を形成することによって初めて法的効力を持つに至るものであって、当事者の合理的意思に反しては成立しえないものであると解するのが相当である。〔中略〕 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕 原告らのA型賃金における賞与については、前記二認定事実によれば、就業規則及び給与規程に定めがなく、賞与支給に関する内規においても、具体的金額が定められておらず、賞与支給金額等に関しては、被告及び訴外組合で協議し決定する旨規定しており、賞与支給条件が明確でないこと、現実にも、被告における賞与は、毎年度、被告と訴外組合とで協議して、協定書を作成して決定されてきたのであって、慣行によってではなく、その時々の労使の交渉によって決定されていたこと、右のようにして決定される賞与は、対象期間中の企業の業績等により支給の有無及び額が変動することが予定されていることが認められ、右事実に加えて、原告らにつき、前年度実績による賞与請求権が具体的に発生していると解するのは、当事者間の合理的意思に反するものであることからすれば、被告において、従前前年度実績を下らない額の賞与が支給されてきたからといって、原告らの主張する具体的な賞与請求権を基礎づける労働慣行の存在を認めることはできない。 |