ID番号 | : | 07025 |
事件名 | : | 地位保全等仮処分命令申立事件 |
いわゆる事件名 | : | 東英産業事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 事務用機器の製造販売を目的とする会社で雇用された労働者が、経歴詐称、私物の運送、パートタイマーに対するセクシュアルハラスメント、配転命令拒否等を理由に懲戒解雇され、その効力を争い、仮の地位の定めと賃金の仮払いを求めて仮処分を申し立てた事例(申立却下)。 |
参照法条 | : | 労働基準法2章 労働組合法7条 労働基準法89条1項9号 |
体系項目 | : | 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反 |
裁判年月日 | : | 1997年9月22日 |
裁判所名 | : | 奈良地 |
裁判形式 | : | 決定 |
事件番号 | : | 平成9年 (ヨ) 35 |
裁判結果 | : | 却下 |
出典 | : | タイムズ962号153頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕 債権者が、本件配転命令を認めず、新就業場所に移動した後も同僚の手伝いであるとしてスリッター作業に従事する態度をとり続けたことは、債権者自身認めるところであるが、これに加え、平成八年一二月一日以降も債務者からの新就労場所での勤務を命じる業務命令に従わず従前の就業場所での勤務を続け、平成九年一月七日には、改造工事が予定され、退去を求められながら外注管理課事務室に在室し、その間工事が進められなかったこと(乙三九の一、四〇)は、債務者の正当な業務に対する妨害行為といわざるを得ない。さらに、前述した同年二月一八日債権者が田中に対してとった言動は、本件配転命令を拒否し、業務上の指揮命令に従わない意思を明らかにしたものと認められる(なお、この債権者の言動について、債務者は田中らに対する脅迫行為であると主張しているが、その言動の内容及びそれまでの経緯に照らし、右言動は、債務者に対する徹底的な抗議活動等を予想されるものではあるが、債権者が田中らの生命身体等に直接危害を加える趣旨のものとは認めがたい。)。以上の点からは、債権者は本件配転命令を拒否し、債務者の正当な業務上の指揮命令に違反したものと認めることができる。〔中略〕 以上の本件懲戒解雇事由のうち、学歴詐称並びに専属運送会社、下請人及び職場パートタイマーに対する外注管理業務遂行上の非違行為ないし問題点が、それのみで正当な懲戒解雇事由となるかはともかく、従前の外注管理業務遂行上の非違行為ないし問題点を踏まえて行われた本件配転命令に対する債権者の明らかな拒否の意思及び業務上の指揮命令違反に加え、学歴詐称の点を理由として懲戒解雇をすることは、相当な理由があるものと認められる。 |