ID番号 | : | 07053 |
事件名 | : | 障害補償給付処分取消等請求事件 |
いわゆる事件名 | : | 住友生命・大阪中央労基署長事件 |
争点 | : | |
事案概要 | : | 保険外交員が、帰宅途上、自転車で走行中、後方から別の自転車に追突され、路上に転倒して負った頭部外傷の症状固定後の障害補償給付につき、労基署長のなした一四級の九の等級認定等を争った事例(棄却)。 |
参照法条 | : | 労働者災害補償保険法12条の8第1項3号 労働者災害補償保険法15条 労働者災害補償保険法13条 |
体系項目 | : | 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 障害補償(給付) 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 療養補償(給付) |
裁判年月日 | : | 1997年11月26日 |
裁判所名 | : | 大阪地 |
裁判形式 | : | 判決 |
事件番号 | : | 平成8年 (行ウ) 162 |
裁判結果 | : | 棄却(控訴) |
出典 | : | 労働判例729号31頁 |
審級関係 | : | |
評釈論文 | : | |
判決理由 | : | 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-療養補償(給付)〕 労災保険法一三条で定められた療養補償給付が行われるのは、労働基準法七五条の事由が生じた場合、即ち、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合であるところ(労働基準法七五条一項、労災保険法一二条の八第二項)、これには、業務上負傷等が一旦治癒(この場合の治癒とは、原則として、医学上一般に承認された治療方法によっては傷病に対する療養の効果を期待し得ない状態となり、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときを意味すると解するのが相当である。)した後に、その症状が自然的経過により悪化した場合等、傷病の再発した場合も含むと解される。 (二) そして、右再発による労災保険法上の療養補償給付を受けるためには、再発の取扱いが治癒によって一旦消滅した労災保険法上の療養補償給付義務を再び発生させるものであることや、前記治癒の意義及び労働基準法七五条の趣旨・文言に照らして、〔1〕現傷病と業務上の傷病である旧傷病との間に現傷病と旧傷病とが質的に同一の病態ないしは旧傷病が進展すると現傷病の症状が現れるという関係(相当因果関係)が存在し、〔2〕旧傷病の治癒時の症状に比し現傷病の症状が増悪し、〔3〕右増悪について治療効果が期待できるものであることの三要件が必要と解すべきである。 (三) また、右再発の要件〔1〕の存在については、労災保険法が労働者の業務上傷病につき「迅速かつ公正な保護」(同法一条)を目的としている点(通勤による負傷、疾病等についても同様)及び再発が業務上の傷病の連続であり、独立した別個の負傷又は疾病でないことに照らすと、旧傷病が現傷病の一原因になっており、かつ、それが医学上相当程度有力な原因であることが認められることが必要であると解される。〔中略〕 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-障害補償(給付)〕 原告は、本件事故により、頭部外傷I型の傷害を受傷したものであるが、前記一4認定のとおり、症状固定時である平成二年七月一二日以降、原告は、頭痛、眼痛、四肢のしびれ等の神経症状を強く訴えるものの、右愁訴の裏付けとなる他覚的所見は認められず、右愁訴は、外傷を契機とした、外傷性神経症によるものと認められる。 (二) 前記二1のとおり、外傷性神経症は、障害等級第一四級の九に認定されるべきものであるから、原告の残存障害について障害等級第一四級の九に該当すると認定した第一処分は適法である。 |