全 情 報

ID番号 07054
事件名 賃金請求事件
いわゆる事件名 国善コーポレーション事件
争点
事案概要  不動産売買につき、売買差益の三割の歩合給の支払が合意されていたとしてなされた賃金請求事件につき、右のような歩合給請求権が認められるためには明確な合意が存在しなければならないが、かかる合意が存在したとはいえないとして請求が却けられた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法27条
民法414条
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 賃金の計算方法
賃金(民事) / 出来高払いの保障給・歩合給
裁判年月日 1997年11月28日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成8年 (ワ) 1724 
裁判結果 一部認容、一部棄却
出典 労経速報1661号25頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-賃金の計算方法〕
〔賃金-出来高払いの保障給・歩合給〕
 原告Xは、被告会社と原告Xとの間には、原告Xに対し、本件土地取引に関して被告会社が得た売買差益の三割の歩合給を支払う旨の合意があった旨主張する。しかしながら、前記認定のとおり、原告Xは、本件土地取引の情報を入手して被告会社にもたらしたほかは、本件土地取引に関しては、単純な事務作業を行っていたに過ぎないことが明らかであるところ、独立の不動産業者であればともかく、宅地建物取引主任の資格も持たない不動産会社の一従業員が、情報をもたらしただけで売買差益の三〇パーセントもの歩合給を取得することは、一般的には考えにくいことであるから、そのような内容の歩合給請求権が認められるためには、被告会社との間にその旨の明確な合意が存在しなければならないというべきである。そして、以上に認定した事実関係によれば、歩合率三〇パーセントというのは、あくまで媒介業務における歩合率であって、売買業務である本件土地取引に関し、原告Xに対し同様の割合の歩合給を支払う旨の合意が存在したとは、認めることができない。