全 情 報

ID番号 07069
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 医療法人健正会事件
争点
事案概要  診療所及び老人保健施設を経営する医療法人に雇用され医院の事務責任者として勤務してきた者が、退職時に支払われた退職金が従来支給されていた医師会の職員退職金規程を参考として算出したものとの間に格差があり、その格差相当分が未払いになっているとして請求した事例(認容)。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
賃金(民事) / 退職金 / 退職金の支給時期
裁判年月日 1998年1月16日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成8年 (ワ) 7498 
裁判結果 認容(控訴)
出典 労働判例731号25頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 昭和五七年に行われた原告の給与の増額については、この措置が、Aが原告のマンション購入資金に充てればよいとの判断に基づいて行われたものであることが認められるものの、その趣旨が原告に説明された形跡がなく、ましてや、右増額が、原告に対する退職金の一部の前払いであることについて、原告とAとの間で明確な合意が形成されたことが認められる証拠は皆無である(A自身も、その代表者尋問において、給与の増額が原告に対する退職金の一部の前払いであるとの説明をしなかった旨を供述している。)ことに照らせば、被告の主位的抗弁が失当であることは明らかといわなければならない。〔中略〕
〔賃金-退職金-退職金の支給時期〕
 被告の主位的及び予備的抗弁はいずれも失当であり、原告の本件請求は理由があるから、被告は、原告に対し、未払退職金六四七万円及びこれに対する退職日の翌日である平成七年四月一日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払義務を免れないというべきである(なお、本件証拠上、被告における退職金の支払時期が明らかでないが、被告がこの点について積極的に争っていないことに鑑み、原告の請求どおり、遅延損害金の起算日は、平成七年四月一日とする。)。